遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の遺伝カウンセリング

近年, 遺伝性疾患について原因遺伝子の同定が進み, 遺伝性のがんについても遺伝的素因を明らかにして, その予防, 早期の診断・治療に活用することができるようになってきた. 遺伝情報は血縁者に共有され, 発症前診断も可能とすることから, その活用には十分な情報提供と共に, 心理・社会的影響を十分に考慮して支援を提供する遺伝カウンセリングの重要性が指摘されている. HNPCCは, 複数の原因遺伝子が同定されている代表的な遺伝性のがんであり, 大腸がんのほか, 子宮体がん, 胃がん, 卵巣がん, 尿管がん等が比較的若い年齢で発症する. 一般のがんよりも若年で発症することが多いため, 気づかずに手遅れ...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 9; no. 2; pp. 75 - 77
Main Authors 武田祐子, 矢崎久妙子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 15.05.2009
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ISSN1346-1052

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Summary:近年, 遺伝性疾患について原因遺伝子の同定が進み, 遺伝性のがんについても遺伝的素因を明らかにして, その予防, 早期の診断・治療に活用することができるようになってきた. 遺伝情報は血縁者に共有され, 発症前診断も可能とすることから, その活用には十分な情報提供と共に, 心理・社会的影響を十分に考慮して支援を提供する遺伝カウンセリングの重要性が指摘されている. HNPCCは, 複数の原因遺伝子が同定されている代表的な遺伝性のがんであり, 大腸がんのほか, 子宮体がん, 胃がん, 卵巣がん, 尿管がん等が比較的若い年齢で発症する. 一般のがんよりも若年で発症することが多いため, 気づかずに手遅れになってしまう危険性があり, 一般におけるがん対策はあまり有効ではない. そこで, HNPCCの診断基準に合致する場合, その血縁者を含めてがんの発症予防と早期発見のための対策が必要となる. しかし, 遺伝性のがんの診断は, 個人の顕在化している病気の診断と異なり, 個人の将来を予測し, 家系内の人々の診断につながるものであることから, カウンセリングが重要となってくる.
ISSN:1346-1052