血中グアナーゼと輸血後肝炎の関係

Guanaseは脱アミノ基酵素で肝, 腎, 脳に分布し, 血中に出現するGuanaseは肝に由来するものである. 輸血用血液中のGuanase活性をチェックし輸血後肝炎の発症率との関係をみた. 輸血液は採血後3日以内にGuanase測定し, 5日以内に輸血に使用された. 対象は当大学病院において心臓手術の際輸血を受けた患者で, 輸血後肝炎の判定基準として術後3週降3ヵ月以内にGPTが100単位以上を認められた者でHB抗原陽性者は除外した. Guanase未チェック群の患者では18例中11例(61.6%)に肝炎発症がみられ, Guanase 2.1IU/L以上が含まれた群では5例中4例(80.0...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 28; no. 6; p. 593
Main Authors 江頭静摩, 山崎晴一郎, 古賀道弘, 赤川治夫, 井上徳治, 河野洋之, 東谷孝徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1982
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ISSN0546-1448

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Summary:Guanaseは脱アミノ基酵素で肝, 腎, 脳に分布し, 血中に出現するGuanaseは肝に由来するものである. 輸血用血液中のGuanase活性をチェックし輸血後肝炎の発症率との関係をみた. 輸血液は採血後3日以内にGuanase測定し, 5日以内に輸血に使用された. 対象は当大学病院において心臓手術の際輸血を受けた患者で, 輸血後肝炎の判定基準として術後3週降3ヵ月以内にGPTが100単位以上を認められた者でHB抗原陽性者は除外した. Guanase未チェック群の患者では18例中11例(61.6%)に肝炎発症がみられ, Guanase 2.1IU/L以上が含まれた群では5例中4例(80.0%), 2.0IU/L以下だけの群では30例中5例(16.7%)に肝炎の発症がみられ, 有意差を検定すると0.5%の危険率で有意差が認められた. 以上のことからGuanase活性と輸血後肝炎には何らかの関係があると思われ, 供血者のサイレント・キャリアーのスクリーニングに利用出来るものと思われ, 今後の課題係として肝炎発症とGuanase活性の関係を基礎的検討を含め確認していきたいと思います.
ISSN:0546-1448