骨形成不全症の移動能力の検討

骨形成不全症の治療においてはリハビリテーションの果たす役割が大きく, 個々の症例においては将来的に実用歩行が獲得できるかが重要である. 今回は自験例について移動能力とこれに関係する因子について調査した. 対象は当科で治療した骨形成不全症35例で, 男16例, 女19例である. 調査時年齢は平均15歳5カ月, 経過観察期間は平均11年3カ月であった. 調査項目は移動能力, 病型, 初回骨折年齢, 骨折回数, 脊柱側弯, 治療法であり, 移動能力の評価はHofferとBullock (1981)の分類を用い, 病型はSillenceの分類を用いた. 治療については今回は特に下肢の手術に関して, 髄...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 29; no. 11; pp. 947 - 948
Main Authors 三橋孝之, 亀下喜久男, 根上茂治, 井澤淑郎, 陣内一保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.11.1992
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ISSN0034-351X

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Summary:骨形成不全症の治療においてはリハビリテーションの果たす役割が大きく, 個々の症例においては将来的に実用歩行が獲得できるかが重要である. 今回は自験例について移動能力とこれに関係する因子について調査した. 対象は当科で治療した骨形成不全症35例で, 男16例, 女19例である. 調査時年齢は平均15歳5カ月, 経過観察期間は平均11年3カ月であった. 調査項目は移動能力, 病型, 初回骨折年齢, 骨折回数, 脊柱側弯, 治療法であり, 移動能力の評価はHofferとBullock (1981)の分類を用い, 病型はSillenceの分類を用いた. 治療については今回は特に下肢の手術に関して, 髄内釘の挿入部位数と移動能力の関係, および初回手術前と調査時の移動能力を比較した. Hofferの分類による移動能力の評価では実用的な歩行が可能であるgrade 2以上が35例中24例, 69%であった. 頻回に骨折を繰り返す症例や高度の脊柱側弯を伴う症例は移動能力が低く, 初回の骨折が幼児期以後の症例は移動能力は高かった. Sillenceの分類によるtype別ではtype Iは移動能力は高く, type IIIは重症で全例grade 5以下であり, 歩行不能であった. type IVは種々の程度を示し, 下肢に対する手術後に加齢とともに移動能力が改善した症例が多かった. 骨形成不全症の治療においては将来的な移動能力を考慮した長期のリハビリテーションが重要と思われた. <質疑応答> 加倉井周一(東京大):(1)歩行能力と下肢装具の関連について, (2)Sofield手術はOIの横径成長を阻害するような印象をもっているが, 先生のご意見をうかがいたい. 三橋孝之:(1)装具はなるべく軽量なものを作製し, 術後の訓練などにはよく用いている, (2)分節状骨切り術は確かにatrophyをきたす症例もあり, 最近では閉鎖式髄内釘挿入術も積極的に行っており, 使い分けをしています, (3)年長齢もいいとしても, 当センターで治療しているのは20歳くらいまでで, 脚長差に対して補高靴を処方している症例は少ないと思います.
ISSN:0034-351X