頸部不随意運動に対する新しいブロック療法の試み
ジストニアに対するボツリヌス治療は広く知られており, 諸外国で施行されているが, 現在日本では使用が許可されていない. 日本ではボツリヌスに代わる治療としてMAB(muscle afferent block)療法という, キシロカインとアルコールを用いた治療が梶らにより報告されている. 今回われわれは, ジストニアなど筋緊張を主症状とする頸部不随意運動にMAB療法を試み, 著明な改善を得ることができたので, 若干の考察を含めて報告する. 症例1は, 31歳, 男性. 23歳より分裂病のため抗精神病薬の治療を受け, 26歳より左への回旋, 後屈する遅発性ジストニアが出現した. その後嚥下障害が出...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 12; p. 1032 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1998
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | ジストニアに対するボツリヌス治療は広く知られており, 諸外国で施行されているが, 現在日本では使用が許可されていない. 日本ではボツリヌスに代わる治療としてMAB(muscle afferent block)療法という, キシロカインとアルコールを用いた治療が梶らにより報告されている. 今回われわれは, ジストニアなど筋緊張を主症状とする頸部不随意運動にMAB療法を試み, 著明な改善を得ることができたので, 若干の考察を含めて報告する. 症例1は, 31歳, 男性. 23歳より分裂病のため抗精神病薬の治療を受け, 26歳より左への回旋, 後屈する遅発性ジストニアが出現した. その後嚥下障害が出現し, 誤嚥性肺炎を繰り返すため経管栄養が施行されていた患者である. 症例2は, 45歳, 男性. 2年前より頸部が後方に反り, そのため歩行に困難を感じ, 車の運転が不可能になった. 食事動作では歯を持続的に噛みしめてしまい, 無理に噛もうとすると口唇が開いてしまい, 食物が口から落ちてしまうという症状があった患者である. 両患者とも, 表面筋電図, キシロカインブロックによる評価の後, 胸鎖乳突筋など緊張の強い筋に対しMAB療法を施行した. MAB療法により, 頸部の筋緊張が軽減するに伴い, 歩行障害, 嚥下障害などが改善した. |
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ISSN: | 0034-351X |