視覚的再学習が効果的であった失語症をともなう観念失行の1例

観念失行の定義は種々議論のあるところではあるが, 山鳥らによると「単一, 複数を問わず物品使用の障害」とする考えが実際的であると述べている. 今回, 失語症をともなった観念失行患者へ視覚的再学習を行い, リハビリテーション(以下, リハと略す)効果を得ることができた1例を経験したので報告する. 症例は, 65歳右利き男性. 1993年6月3日, 左MCA灌流域の脳梗塞に罹患. 近医入院後, 同年10月18日加治木温泉病院転院となり, リハ開始となった. 入院時評価では, 右不全片麻痺, 運動性失語, 観念失行などが認められた. 佐々木や武田, 種村らによると観念失行に対し視覚的再学習が効果的で...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 3; pp. 206 - 207
Main Authors 窪田正大, 浜田博文, 一松珠紀, 吉野麗子, 高田昌英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.03.1996
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ISSN0034-351X

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Summary:観念失行の定義は種々議論のあるところではあるが, 山鳥らによると「単一, 複数を問わず物品使用の障害」とする考えが実際的であると述べている. 今回, 失語症をともなった観念失行患者へ視覚的再学習を行い, リハビリテーション(以下, リハと略す)効果を得ることができた1例を経験したので報告する. 症例は, 65歳右利き男性. 1993年6月3日, 左MCA灌流域の脳梗塞に罹患. 近医入院後, 同年10月18日加治木温泉病院転院となり, リハ開始となった. 入院時評価では, 右不全片麻痺, 運動性失語, 観念失行などが認められた. 佐々木や武田, 種村らによると観念失行に対し視覚的再学習が効果的であったという報告がある. 今回, それに準じて視覚的刺激を中心に用い, 動作模倣を反復し, かつ物品数の少ない動作から多い動作へ段階づけを行うことにより観念失行の改善が認められた. これらの結果より, 視覚的再学習が観念失行患者への有効な1治療法であると思われた.
ISSN:0034-351X