唾液腺症状を伴ったNemaline Myopathyの一例

先天性非進行型Nemaline Myopathyの症例で歯科放射線科初診より14年経過して唾液腺症状を呈したので報告した. 症例:51歳, 男性, 口腔乾燥感を主訴に当科受診. 既往歴は, 17歳時(1961)に鹿大第3内科にて筋生検によりNemaline Myopathyと診断された. 緩徐進行型のため会社勤務をしていた. 1981年口腔領域の精査目的に本学歯科放射線科を受診したが, 高口蓋以外には異常所見は認められなかった. 1995年再診の3~4年前より口腔乾燥感を認めるようになった. 現在, 本疾患の特徴であるhatchet face, fish mouthなどは著明ではないが, 右口...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 36; no. 2; pp. 107 - 108
Main Authors 早川佳代子, 佐藤強志, 末永重明, 野井倉武憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.06.1996
Online AccessGet full text
ISSN0389-9705

Cover

More Information
Summary:先天性非進行型Nemaline Myopathyの症例で歯科放射線科初診より14年経過して唾液腺症状を呈したので報告した. 症例:51歳, 男性, 口腔乾燥感を主訴に当科受診. 既往歴は, 17歳時(1961)に鹿大第3内科にて筋生検によりNemaline Myopathyと診断された. 緩徐進行型のため会社勤務をしていた. 1981年口腔領域の精査目的に本学歯科放射線科を受診したが, 高口蓋以外には異常所見は認められなかった. 1995年再診の3~4年前より口腔乾燥感を認めるようになった. 現在, 本疾患の特徴であるhatchet face, fish mouthなどは著明ではないが, 右口角はやや下垂し, 両側前腕部の筋萎縮が認められた. 1981年受診時および1995年受診時の側貌X線像からは, 高口蓋が認められた. 唾液腺造影所見:耳下腺は主導管の著明な拡張と一部くびれを呈し, 腺体内一次, 二次導管は拡張し, 一部断裂, 末梢は一部消失が認められた. さらに末端では小顆粒状を呈していた. 顎下腺もほぼ同様で主導管, 腺体内一次, 二次導管の拡張は認められるが, 耳下腺ほどirregularではなかった. 唾液腺シンチ所見:Spot像では形態異常は認められず, 機能検査からはRIの集積の遅延, 排泄に関するReaction Timeの延長が認められた. また排泄後の再吸収に時間を要することがわかった. Normalな23耳下腺, 25顎下腺についてのReaction Timeとの比較では, 本症例では耳下腺で特に延長し, 顎下腺でも軽度に延長していた. まとめ:本症例は高口蓋を認め, 唾液腺造影像および唾液腺シンチからは, 特に耳下腺で, 顎下腺においても軽度に唾液腺症状を呈していた.
ISSN:0389-9705