腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術後に発症し, 自己免疫性肝炎を合併した原発性胆汁性肝硬変の1高齢男性例

症例は78歳男性. 発症5カ月前に腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を受けている. 全身倦怠感を主訴に来院しtransaminase, 胆道系酵素高値のため当科入院となった. 精査にて抗ミトコンドリア抗体陽性で, 組織学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎 (CNSDC) に矛盾しない胆管病変であったが, 著明なpiecemeal necrosis及び肝小葉内巣状壊死を伴う所見であった. 以上より原発性胆汁性肝硬変 (PBC), なかでも慢性活動性肝炎 (CAH) との混合型であるPBC-CAH mixed typeの範疇に入る病態と診断した. CAHの病因として自己免疫性肝炎の関与が考えられたが,...

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Published in肝臓 Vol. 40; no. 7; pp. 409 - 413
Main Authors 中野, 赳, 高瀬, 幸次郎, 大森, 茂, 清水, 敦哉, 為田, 靱彦, 国吉, 幹夫, 小坂, 義種, 伊藤, 圭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.07.1999
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.40.409

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Summary:症例は78歳男性. 発症5カ月前に腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を受けている. 全身倦怠感を主訴に来院しtransaminase, 胆道系酵素高値のため当科入院となった. 精査にて抗ミトコンドリア抗体陽性で, 組織学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎 (CNSDC) に矛盾しない胆管病変であったが, 著明なpiecemeal necrosis及び肝小葉内巣状壊死を伴う所見であった. 以上より原発性胆汁性肝硬変 (PBC), なかでも慢性活動性肝炎 (CAH) との混合型であるPBC-CAH mixed typeの範疇に入る病態と診断した. CAHの病因として自己免疫性肝炎の関与が考えられたが, 高齢男性であること等の理由でウルソデオキシコール酸 (UDCA) による治療を開始した. その後ビリルビン及びトランスアミナーゼ値はいずれも低下したもののZTT, IgG値は上昇を続け, 治療開始6週以降GOT, GPT共250IU/l前後から改善がみられないためプレドニゾロン投与を併用したところ, 肝機能検査値も正常化した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.40.409