外傷性主膵管閉塞の1例

主膵管閉塞を伴う外傷性膵損傷に対して, 3カ月間の保存的治療後に手術を行った症例を経験したので報告する.症例は17歳,男性. 2001年4月10日,腹部を強打され,近医を受診.心窩部痛,血清アミラーゼ2,000IU/L,腹部CT所見から外傷性膵損傷と診断された.持続する高アミラーゼ血症のため他院へ転院し,精査の結果,日本外傷学会膵損傷分類IIIa型の膵損傷後の主膵管閉塞と診断された.尾側膵機能の温存のため当科へ紹介され7月11日に手術を施行した.手術所見では膵頭体部移行部に高度の線維化を認め,体尾部は随伴膵炎を呈していた.主膵管の再開通や端々吻合は困難であり, Roux-Yで膵管空腸側々吻合術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 435 - 439
Main Authors 澤田, 傑, 尾関, 豊, 松嶋, 麻子, 吉田, 直優, 篠崎, 正美, 角, 泰廣
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.435

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Summary:主膵管閉塞を伴う外傷性膵損傷に対して, 3カ月間の保存的治療後に手術を行った症例を経験したので報告する.症例は17歳,男性. 2001年4月10日,腹部を強打され,近医を受診.心窩部痛,血清アミラーゼ2,000IU/L,腹部CT所見から外傷性膵損傷と診断された.持続する高アミラーゼ血症のため他院へ転院し,精査の結果,日本外傷学会膵損傷分類IIIa型の膵損傷後の主膵管閉塞と診断された.尾側膵機能の温存のため当科へ紹介され7月11日に手術を施行した.手術所見では膵頭体部移行部に高度の線維化を認め,体尾部は随伴膵炎を呈していた.主膵管の再開通や端々吻合は困難であり, Roux-Yで膵管空腸側々吻合術を行った. III型の外傷性膵損傷では受傷後早期の手術が必要とされるが, 3カ月を経過した症例に対しても膵機能温存手術は有効であると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.435