血漿分離膜に吸着した血液成分の検討
血液と血漿分離膜との相互反応は膜素材により異なる. 今回, 親水系膜のpolyvinyl alcohol (PVA) と, 疎水系膜のpolysulfon (PS) の2種類の血漿分離膜を用いて臨床使用後, 各膜に吸着された蛋白, 血球成分について, 電子顕微鏡およびSDS-ポリアクリルアミド電気泳動 (SDS-PAGE) を用いて解析し, 次の結果を得た. 1. 電子顕微鏡による観察では, PS膜に比してPVA膜で付着物が少なく, 蛋白および血球成分がわずかに付着しているのみであり, 膜の内壁構築が良く観察された. 一方, PS膜では, 蛋白および血球成分の付着が著明で膜の内壁構築はほとんど...
Saved in:
Published in | 日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 8; pp. 1369 - 1373 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本透析医学会
28.08.1993
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-5889 1884-6211 |
DOI | 10.4009/jsdt1985.26.1369 |
Cover
Summary: | 血液と血漿分離膜との相互反応は膜素材により異なる. 今回, 親水系膜のpolyvinyl alcohol (PVA) と, 疎水系膜のpolysulfon (PS) の2種類の血漿分離膜を用いて臨床使用後, 各膜に吸着された蛋白, 血球成分について, 電子顕微鏡およびSDS-ポリアクリルアミド電気泳動 (SDS-PAGE) を用いて解析し, 次の結果を得た. 1. 電子顕微鏡による観察では, PS膜に比してPVA膜で付着物が少なく, 蛋白および血球成分がわずかに付着しているのみであり, 膜の内壁構築が良く観察された. 一方, PS膜では, 蛋白および血球成分の付着が著明で膜の内壁構築はほとんど観察できなかった. 2. SDS-PAGE法による膜吸着蛋白および血球成分の解析では, 臨床使用したPVA膜に吸着したアルブミン量を1としたとき, PVA膜へのIgG吸着量は0.6-0.8であり, フィブリンは0.1-0.2, 赤血球は0.5-0.7であった. そして, 吸着された蛋白の総量は, 2.0-2.5であった. また, PSではアルブミン, IgG, フィブリン, 赤血球がそれぞれ1.2-1.5, 0.8-1.1, 0.4-0.5, 0.9-1.1であり, 吸着された蛋白の総量は4.0-4.5であった. これらの結果より, PVA膜は抗凝固性に優れていると推測された. |
---|---|
ISSN: | 0911-5889 1884-6211 |
DOI: | 10.4009/jsdt1985.26.1369 |