門脈圧亢進症における肝静脈造影および逆行性門脈造影の診断的意義に関する研究

肝内性門脈圧亢進症における肝静脈造影および逆行性門脈造影の診断的意義について検討した.変数選択型判別分析による正診率は,肝硬変症(以下LCとする)159例中151例95%,乙'型肝硬変症7例中6例86%,原発性胆汁性肝硬変症6例中5例83%,特発性門脈圧亢進症は21例中12例57%であった.誤診例を詳細に分析すると本法はきわめて忠実に肝病変を反映するため,肝生検,肝表面像を含め総合評価することにより,より正確な門脈圧亢進症の形態診断に到達しうると考えられた.LCの造影所見を成因別に検討するとアルコール性LCは非アルコール性LCに比較して壁不整,屈曲・蛇行の著明なI型が有意に少なく,こ...

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Published in肝臓 Vol. 28; no. 7; pp. 939 - 948
Main Author 福永, 正氣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.07.1987
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.939

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Summary:肝内性門脈圧亢進症における肝静脈造影および逆行性門脈造影の診断的意義について検討した.変数選択型判別分析による正診率は,肝硬変症(以下LCとする)159例中151例95%,乙'型肝硬変症7例中6例86%,原発性胆汁性肝硬変症6例中5例83%,特発性門脈圧亢進症は21例中12例57%であった.誤診例を詳細に分析すると本法はきわめて忠実に肝病変を反映するため,肝生検,肝表面像を含め総合評価することにより,より正確な門脈圧亢進症の形態診断に到達しうると考えられた.LCの造影所見を成因別に検討するとアルコール性LCは非アルコール性LCに比較して壁不整,屈曲・蛇行の著明なI型が有意に少なく,これはアルコール性LCの再生結節径が他群に比較して有意に小さなことを反映した造影上の相違と推測され,造影所見の検討が成因を考える上で有力な一手段となりうることが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.939