大動脈弁置換後4年で発生した解離性大動脈瘤切迫破裂に対し準緊急的に Bentall 手術 (Piehler 変法) を施行した1治験例
症例は57歳, 男性. 大動脈弁閉鎖不全症 (AR) に対し大動脈弁置換術 (AVR) が行われた. 初回AVR時の上行大動脈径は45mmと軽度拡大を認めていたが放置されていた. 経過順調であったが, 術後4年目に前胸部痛を自覚. 次第に症状の増強と頻度の増加が見られた. 大動脈造影にて冠動脈起始部直上から腕頭動脈起始部近傍にかけて最大径90mmの拡大を伴う上行大動脈の解離が認められ, 解離性上行大動脈瘤切迫破裂と診断し準緊急的に Bentall 手術 (Piehler 変法) を行った. 術後は経過良好である. 以上の経過より, 軽度の上行大動脈拡張を伴った大動脈弁膜症に対しては将来的な瘤形...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 5; pp. 355 - 359 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
15.09.1994
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.23.355 |
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Summary: | 症例は57歳, 男性. 大動脈弁閉鎖不全症 (AR) に対し大動脈弁置換術 (AVR) が行われた. 初回AVR時の上行大動脈径は45mmと軽度拡大を認めていたが放置されていた. 経過順調であったが, 術後4年目に前胸部痛を自覚. 次第に症状の増強と頻度の増加が見られた. 大動脈造影にて冠動脈起始部直上から腕頭動脈起始部近傍にかけて最大径90mmの拡大を伴う上行大動脈の解離が認められ, 解離性上行大動脈瘤切迫破裂と診断し準緊急的に Bentall 手術 (Piehler 変法) を行った. 術後は経過良好である. 以上の経過より, 軽度の上行大動脈拡張を伴った大動脈弁膜症に対しては将来的な瘤形成予防を考慮した術式の選択が必要と考えられた. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.23.355 |