正常咬合者の開閉口運動における下顎切歯および下顎頭の運動解析
顎口腔機能異常の無い正常咬合者14名 (男子7名, 女子7名) について, 最大開閉口運動の測定を行ない, 下顎切歯および下顎頭の運動解析を行った.測定には, 顎口腔機能総合解析システム (ナソヘキサグラフ) を用い, 以下の項目を解析した. (1) 最大移動量, (2) 最大速度, (3) 最大速度発現時の移動量および最大移動量に対する比率, (4) 速度曲線パターン. 切歯点の最大移動量は, 50.2±3.9mm, 開口相での最大速度は289.6±93.1mm/s, 閉口相では330.6±75.2mm/sであった.また, 最大速度発現時の移動量は, 開口相で16.1±0.2mm, 閉口相で...
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Published in | 日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 5; no. 1; pp. 11 - 20 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎口腔機能学会
30.09.1998
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-9085 1883-986X |
DOI | 10.7144/sgf.5.11 |
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Summary: | 顎口腔機能異常の無い正常咬合者14名 (男子7名, 女子7名) について, 最大開閉口運動の測定を行ない, 下顎切歯および下顎頭の運動解析を行った.測定には, 顎口腔機能総合解析システム (ナソヘキサグラフ) を用い, 以下の項目を解析した. (1) 最大移動量, (2) 最大速度, (3) 最大速度発現時の移動量および最大移動量に対する比率, (4) 速度曲線パターン. 切歯点の最大移動量は, 50.2±3.9mm, 開口相での最大速度は289.6±93.1mm/s, 閉口相では330.6±75.2mm/sであった.また, 最大速度発現時の移動量は, 開口相で16.1±0.2mm, 閉口相では25.5±0.3mmであった.最大速度発現時移動量の最大移動量に対する比率は, 開口相で32.1±2.0%, 閉口相では50.9±3.7%であった. 一方, 下顎頭点の最大移動量は, 15.5±4.1mm.開口相での最大速度は90.8±33.6mm/s, 閉口相では160.6±58.2mm/sであった.また, 最大速度発現時の移動量は, 開口相で9.5±3.9mm, 閉口相では8.1±2.6mmであった.最大速度発現時移動量の最大移動量に対する比率は, 開口相で59.0±16.6%, 閉口相では52.0±8.1%であった. 切歯点および下顎頭点の速度曲線には, 速度ピークが1つのもの (1相性) , 速度ピークが2つのもの (2相性) , 速度ピークが3つ以上あるいは明確な速度ピークが確認できないもの (多相性) が認められた.本研究結果から, 最大開閉口運動における, 切歯点ならびに下顎頭点の最大移動量, 最大速度ならびに速度曲線パターン分類は, 顎運動解析のパラメータとなり得ることが示唆された. |
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ISSN: | 1340-9085 1883-986X |
DOI: | 10.7144/sgf.5.11 |