献血血液製剤中の抗cardiolipin抗体, neopterinおよび可溶性interleukin-2receptor濃度の異常率

目的:一般献血者の中には必ず一定の頻度で何らかの“免疫学的異常者”が存在すると考えられるが, 現行の輸血前検査上”免疫学的異常”をscreeningする項目は採用されていない. 今回, broad spectrumの免疫学的異常を鋭敏に反映すると考えられる3つの指標を用いて献血血液製剤中の異常率を検討し興味ある知見を得たので報告する. 対象と方法:対象は日本赤十字血液センターにて輸血前検査に合格し, 既に輸血用製剤として使用された521製剤. 各製剤のsegment tube中の血漿について, 抗cardiolipin抗体(ACLAb), neopterinおよび可溶性interleukin-...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 3; p. 676
Main Authors 新名主宏一, 時岡剛, 肥後恵子, 舞木弘幸, 渡辺紘子, 上国料知子, 納光弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.07.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:一般献血者の中には必ず一定の頻度で何らかの“免疫学的異常者”が存在すると考えられるが, 現行の輸血前検査上”免疫学的異常”をscreeningする項目は採用されていない. 今回, broad spectrumの免疫学的異常を鋭敏に反映すると考えられる3つの指標を用いて献血血液製剤中の異常率を検討し興味ある知見を得たので報告する. 対象と方法:対象は日本赤十字血液センターにて輸血前検査に合格し, 既に輸血用製剤として使用された521製剤. 各製剤のsegment tube中の血漿について, 抗cardiolipin抗体(ACLAb), neopterinおよび可溶性interleukin-2receptor(sIL-2R)濃度を測定した. ACLAbとsIL2-RはELISAにて, neopterinは逆相HPLCにより測定した. 成績:(1)3つの指標のうちいずれかの異常は14検体, 2.69%(14/521)に認められた. (2)ACLAbの異常(≧5u/ml)は9検体, 1.73%(9/521)であった. (3)neopterinの異常(≧6.89pmol/ml)は7検体, 1.34%(7/521)であった. (4)sIL2-Rの異常(≧8.69ng/ml)は, 5検体, 0.96%(5/521)に認められた. 考察と結論:ACLAb, neopterinおよびsIL2-Rの3者のいずれも“broad spectrumの免疫異常”を鋭敏に反映する指標であり, 血液製剤として合格した製剤においても2.69%の高率に“何らかの免疫学的異常”が存在することが判明した. これらの異常を呈した献血者の基礎疾患(病態)の有・無についての検索を施行することにより, これらの指標の意味する“免疫学的異常病態”を明らかにし, 血液製剤としての質的可・否が論ぜられるべきであると考えられた.
ISSN:0546-1448