改良MPHA法による頻回血小板輸血患者の抗HLA抗体スクリーニング法

【目的】血液疾患などの患者に頻回に血小板を輸血すると同種抗体が産生され, 血小板輸血無効状態に陥ることがある. それらの同種抗体のほとんどは抗HLA抗体であるが, 抗HLA抗体の検出法であるLCT法, AHG-LCT法に用いるパネルリンパ球の長期間保存は, 液体窒素槽中でしか保存できない. また, リンパ球の確保及び凍結保存, 解凍作業は煩わしく, 一般ルチン検査に普及されにくい. 今回, 我々はMPHA法を用いて3%ショ糖生食水血小板抽出抗原パネル(以下抽出抗原パネル)による頻回血小板輸血患者の抗HLA抗体スクリーニング及び特異性の解析を試みた. 【材料と方法】抽出抗原パネルは既知HLA-A...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 484
Main Authors 荒木延夫, 稲葉洋行, 浜中泰光, 能勢義介, 清水準也, 柴田洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】血液疾患などの患者に頻回に血小板を輸血すると同種抗体が産生され, 血小板輸血無効状態に陥ることがある. それらの同種抗体のほとんどは抗HLA抗体であるが, 抗HLA抗体の検出法であるLCT法, AHG-LCT法に用いるパネルリンパ球の長期間保存は, 液体窒素槽中でしか保存できない. また, リンパ球の確保及び凍結保存, 解凍作業は煩わしく, 一般ルチン検査に普及されにくい. 今回, 我々はMPHA法を用いて3%ショ糖生食水血小板抽出抗原パネル(以下抽出抗原パネル)による頻回血小板輸血患者の抗HLA抗体スクリーニング及び特異性の解析を試みた. 【材料と方法】抽出抗原パネルは既知HLA-A, B, C抗原のO型ヒト血小板24種を使用した. 頻回血小板輪血患者血清は抗血小板特異抗体陰性でLCT法またはAHG-LCT法陽性(以下, 陽性血清)の24種及び陰性(以下, 陰性血清)の7種の計31種を使用した. 指示血球は抗ヒトIgG, IgM血球を用いた. 抽出抗原パネルの作製は, O型ヒト血液より得られた血小板を3%ショ糖無菌生食水(含0-1%窒化ソーダ)に15×10^4 /mlの割合に浮遊させ, 4℃に放置し2~3日放置後, 10,000G, 5分間遠心し, 上清を得, 抽出抗原とした. 次に, 一抽出抗原24種を原液で72穴U型テラサキルート(Robbins社)の各穴に5μl分注, 4℃に一晩放置後, プレートに固相したものを-80℃に保存し, 使用時に自然解凍して使用した. 抗体の反応及び判定手技は金らのテラサキプレートを用いた血小板抗原によるMPHA法に従った. 【成績】陽性血清24種及び陰性血清7種の患者血清計31種と抽出抗原パネル24種のMPHA法の反応性は陽性血清24種中22種が陽性, 陰性血清7種中7種が陰性を示した. また, 頻回血小板輸血患者血清15種と抽出抗原パネル24種及びその抽出抗原パネルと同一のパネルドナーより得たリンパ球を用いたMPHA法とAHG-LCT法の反応性の相関はr=0.817を示した. 【結語】我々は血小板を3%ショ糖生食水で血小板抽出抗原としてHLA抗原を抽出したものをテラサキルートに固相し, 抗HLA抗体スクリーニング特異性の解析を行う方法を確立した.
ISSN:0546-1448