MNS 血液型の低頻度抗原 Or について

【目的】 Or抗原(Orriss, MNS31)は, MNS血液型に属する低頻度抗原である. しかし, Or 抗原がMNS血液型に属するという確たる証拠はない. 今回, 献血者からOr+血球が検出されたため, MNS血液型との関係について検討した. 【方法および成績】 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後, マウスモノクローナル抗M, 抗N, 抗En^a TS, 抗En^a FS抗体を用いてイムノブロッティングを行ったが, 異常バンドは認められなかった. ヒト由来抗Or抗体とマウスモノクローナル抗M, 抗N, 抗En^a FS抗体を用いて, Monoclonal Antibody-spec...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 267
Main Authors 常山初江, 内川誠, 中島一格, 十字猛夫, 松原賢弘, 横田敏和, 小野寺孝行, 村田愿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】 Or抗原(Orriss, MNS31)は, MNS血液型に属する低頻度抗原である. しかし, Or 抗原がMNS血液型に属するという確たる証拠はない. 今回, 献血者からOr+血球が検出されたため, MNS血液型との関係について検討した. 【方法および成績】 SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後, マウスモノクローナル抗M, 抗N, 抗En^a TS, 抗En^a FS抗体を用いてイムノブロッティングを行ったが, 異常バンドは認められなかった. ヒト由来抗Or抗体とマウスモノクローナル抗M, 抗N, 抗En^a FS抗体を用いて, Monoclonal Antibody-specific Immobilization of Erythrocyte Antigens (MAIEA)法を行った結果, 抗M および抗 En^a FS 抗体と陽性であった. Or+の reticulocyte から cDNA を合成し, グリコフォリンA(GPA)に特異的なプライマーを用いてPCR法を行い, 増幅断片の塩基配列を決定した. その結果, 204番目に C→T への塩基置換がみられ, GPA の N 末端より31番目のアミノ酸に Arg→Trp への変異を認めた. 【考察】 抗GPAとのMAIEA法が陽性であったことから, Or抗原はGPA分子上に存在すると考えられた. 遺伝子解析から, GPA分子にアミノ酸置換(Arg31→Trp)を認めた. これらの結果から, Or はMNS血液型抗原であることが確認できた. 日本人での Or 抗原陽性の頻度は, 17,200例中2例(0.01%)であり, 抗 Or 抗体は, 14,405例中5例(0.03%)検出された.
ISSN:0546-1448