肝癌に対するALA-PDD及びALA-PDTの基礎的検討

1.はじめに 肝臓癌へのPDTはこれまで, 光感受性物質の非癌部肝臓への取り込みが多いことから困難と考えられてきたが, 光感受性物質としてALAを用いた場合, PDDおよびPDTが可能かどうかを検討した. 2.対象と方法 肝臓癌モデルとしては, よりヒト肝臓癌に近づけるため移植肝癌ではなく化学発癌による肝癌モデルを用いた. 5週齢のFisher-344ラットに100ppmのdiethylnitrosoamine (DEN)水溶液を11週間自由に飲水させ肝臓に癌が多発した担癌ラットにPDDおよびPDTを施行した. PDD:ALA500 mg/kg静注し, 1, 3, 6時間後に開腹, 癌部, 非...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 22; no. 3; p. 186
Main Authors 西脇雅子, 大竹真美子, 馬場聡, 河野栄治, 藤瀬裕, 早田謙一, 小林良正, 中村浩淑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 28.09.2001
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ISSN0288-6200

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Summary:1.はじめに 肝臓癌へのPDTはこれまで, 光感受性物質の非癌部肝臓への取り込みが多いことから困難と考えられてきたが, 光感受性物質としてALAを用いた場合, PDDおよびPDTが可能かどうかを検討した. 2.対象と方法 肝臓癌モデルとしては, よりヒト肝臓癌に近づけるため移植肝癌ではなく化学発癌による肝癌モデルを用いた. 5週齢のFisher-344ラットに100ppmのdiethylnitrosoamine (DEN)水溶液を11週間自由に飲水させ肝臓に癌が多発した担癌ラットにPDDおよびPDTを施行した. PDD:ALA500 mg/kg静注し, 1, 3, 6時間後に開腹, 癌部, 非癌部の組織を摘出して組織毎のALA由来protoporphyrin IX(PpIX)蛍光強度を測定し, ALAの集積の違いを検討した. PDT:ALA500 mg/kg静注3時間後にエキシマダイレーザーを用いて, 4 mJ/pulse, 40 Hzで630 nmのレーザー光30~50Jを腫瘍部に表面照射した. 3.結果および考察 PDD:癌部, 非癌部共に3時間後に最も高い濃度のPpIXの集積を認めた(Fig 1). またすべての時間において非癌部に比して癌部に多くの集積が認められた(Fig 2). PDT:表面照射にて最深部8 mmまで選択的に腫瘍を壊死させることが可能であった(Fig 3). Fig 1:ALA投与後時間に対するPpIX蛍光強度の変化(Mean±s.e.) Fig 2:蛍光強度比(腫瘍部/非腫瘍部) Fig 3:肝癌に対するPDT, 矢印は壊死部 4.結語 肝癌に対してALA-PDDおよびALA-PDTは有効な診断法, 治療法となりうることが示唆された.
ISSN:0288-6200