頸椎変性疾患に対するOrion locking plateを用いた前方固定術の治療経験

「目的」頸椎変性疾患に対し, 頸椎前方固定術にOrion locking plateを用いた症例の手術成績を検討した. 「症例および方法」頸椎変性疾患に対し, 1995年以降に手術を行い, 術後6カ月以上経過した21例を対象とした. 男性14例, 女性7例で平均手術時年齢は56.4歳(36~74歳), 術後経過観察期間は6カ月~4年5カ月, 平均2年2カ月であった. 疾患別には頸椎椎間板ヘルニア4例, 頸椎症性脊髄症10例, 頸椎症性神経根症2例, 頸椎後縦靱帯骨化症5例であった. 固定椎間は1椎間7例, 椎体亜全摘を行った多椎間固定14例であった. 術後は, 術翌日よりPhiladelphi...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; pp. 750 - 751
Main Authors 長谷川康裕, 伊藤康夫, 戸田一潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」頸椎変性疾患に対し, 頸椎前方固定術にOrion locking plateを用いた症例の手術成績を検討した. 「症例および方法」頸椎変性疾患に対し, 1995年以降に手術を行い, 術後6カ月以上経過した21例を対象とした. 男性14例, 女性7例で平均手術時年齢は56.4歳(36~74歳), 術後経過観察期間は6カ月~4年5カ月, 平均2年2カ月であった. 疾患別には頸椎椎間板ヘルニア4例, 頸椎症性脊髄症10例, 頸椎症性神経根症2例, 頸椎後縦靱帯骨化症5例であった. 固定椎間は1椎間7例, 椎体亜全摘を行った多椎間固定14例であった. 術後は, 術翌日よりPhiladelphia型カラー装着下に歩行を許可し, カラーは2~3カ月間装着させた. これらの症例に対し, 臨床成績, 骨癒合の有無および時期, 術後および調査時の変形の有無, 合併症について調査した. 「結果」全例で神経症状の改善を認め, 独歩退院した. 骨癒合は20例で得られ, その平均期間は11.5週であった. 骨粗鬆症のある2例でスクリューの弛みを認め, うち1例は骨癒合が生じていない. 1例は2mmの移植骨の圧潰が生じたが, その部で骨癒合した. 他の症例では術直後のアライメントが保持されていた. プレートの破損, スクリューの脱転, 破損を生じた例はなかった. 「考察」頸椎前方固定術にOrion plateを併用することにより, 早期離床を行っても頸椎アライメントを保持し, 骨癒合が得られた. 骨粗鬆症例におけるスクリューの弛みの危険性はあるが, 適応を選べば, 有用な治療法であると考えられた.
ISSN:0034-351X