左副腎転移を伴い一年以上生存し得た肝細胞癌の一例

症例は63歳男性. 平成6年より慢性C型肝炎にて近医で経過観察中であったが, 平成11年10月, 腹部CTにて肝門部および左副腎の腫瘤を指摘され, 群馬大学第一内科に入院. 左副腎転移を伴う肝細胞癌と診断された(Stage IV B, Clinical stage III). 原発巣に対してはTAE施行されたが, 左副腎転移に対しては未治療であった. またTAE後の輸血で, 遅延型溶血反応による黄疸の増悪を一時的に認めた. その後外来にて経過観察予定であったが, 退院後まもなく腹水貯留の増悪を認めたため当科入院となった. 既往歴は32歳時に胃潰瘍にて胃亜全摘(この時輸血施行). 飲酒歴は33歳...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 3; p. 223
Main Authors 二瓶康代, 町田崇, 樋口達也, 山崎勇一, 松井正之, 仁平聡, 長坂一三, 富岡眞一, 大野順弘, 小島明, 吉田佐知子, 高木均, 森昌朋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2001
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ISSN1343-2826

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Summary:症例は63歳男性. 平成6年より慢性C型肝炎にて近医で経過観察中であったが, 平成11年10月, 腹部CTにて肝門部および左副腎の腫瘤を指摘され, 群馬大学第一内科に入院. 左副腎転移を伴う肝細胞癌と診断された(Stage IV B, Clinical stage III). 原発巣に対してはTAE施行されたが, 左副腎転移に対しては未治療であった. またTAE後の輸血で, 遅延型溶血反応による黄疸の増悪を一時的に認めた. その後外来にて経過観察予定であったが, 退院後まもなく腹水貯留の増悪を認めたため当科入院となった. 既往歴は32歳時に胃潰瘍にて胃亜全摘(この時輸血施行). 飲酒歴は33歳~55歳までビール一日5本. 理学所見では, 眼瞼結膜軽度貧血および眼球結膜の黄疸, 著明な腹水の貯留を認めた. 入院後利尿剤投与および安静にて, 腹水, 黄疸は速やかに改善した. また食道静脈瘤の悪化を認めたためEVLを施行され一ヶ月後退院となった. その後腹部CT上原発巣及び副腎転移巣は増大傾向であったが積極的治療は行わず, 死亡する2週間前までの約10ヶ月は外来で経過観察された. 副腎転移に対しては無治療であったが, 比較的QOLを保ちつつ一年以上生存し得た興味ある一例と考え報告する.
ISSN:1343-2826