Desmoplastic ameloblastomaのX線写真学的研究

顎・口腔領域で嚢胞様を示す疾患には, 真の嚢胞から悪性腫瘍にいたるまで実に広範囲な領域を包含している. そのうちでも代表的な疾患であるエナメル上皮腫は発現頻度が高いだけでなく, X線像や組織型は実に変化に富んでいる. そのために従来から, 治療法の選択にはそれぞれのタイプに応じた術式を用いるべきであるとされ, 特に組織型は予後の良否にも影響を及ぼすといわれてきた. なかでも, 歯原性腫瘍の新分類(WHO:1992年)でエナメル上皮腫の1亜型とされたdesmoplastic ameloblastomaは以前から骨形成を伴うエナメル上皮腫などとも報告され, 他のエナメル上皮腫とは異なったX線像や予...

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Published in歯科放射線 Vol. 36; no. 2; p. 128
Main Authors 古跡孝和, 林靖久, 古跡養之眞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.06.1996
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ISSN0389-9705

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Summary:顎・口腔領域で嚢胞様を示す疾患には, 真の嚢胞から悪性腫瘍にいたるまで実に広範囲な領域を包含している. そのうちでも代表的な疾患であるエナメル上皮腫は発現頻度が高いだけでなく, X線像や組織型は実に変化に富んでいる. そのために従来から, 治療法の選択にはそれぞれのタイプに応じた術式を用いるべきであるとされ, 特に組織型は予後の良否にも影響を及ぼすといわれてきた. なかでも, 歯原性腫瘍の新分類(WHO:1992年)でエナメル上皮腫の1亜型とされたdesmoplastic ameloblastomaは以前から骨形成を伴うエナメル上皮腫などとも報告され, 他のエナメル上皮腫とは異なったX線像や予後を示すのが特徴である. そこで, 大阪歯科大学歯科放射線学講座で約25年間(1968年4月~1994年12月)にわたり保存されているエナメル上皮腫と確定した370症例から一次症例で顎骨に著明な変化を示した289症例の病理組織像を再度検討し, desmoplastic ameloblastomaとして抽出された13症例のX線像を観察し, 術前に単純X線像のみでこの病変の組織像の予想が可能かを検討した.
ISSN:0389-9705