半側空間無視患者におけるコース立方体検査と移動能力との検討

脳卒中急性期に半側空間無視(以下, USN)を呈した患者にジム訓練開始時より経時的にコース立方体検査を実施し, 退院時の歩行レベル別に群別化し検討したので報告する. 「対象」初回発症の急性期脳卒中患者で初診時にUSNを認めた患者23名, 左USN16名, 脳梗塞11名・脳出血5名, 平均年齢60.6±12.3歳, 右USN7名, 脳梗塞2名・脳出血5名, 平均年齢63.3±9.3歳. 「方法」ジム訓練開始時から退院時まで毎週コース立方体検査を実施した. USNの左右別に退院時の歩行レベルによって自立歩行群, 監視歩行群, 車椅子介助群の3群に辞別化し, コースの成績変化, 退院時のFIMを調べ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; p. 875
Main Authors 新舎規由, 斉藤智子, 高橋紳一, 石神重信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1998
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ISSN0034-351X

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Summary:脳卒中急性期に半側空間無視(以下, USN)を呈した患者にジム訓練開始時より経時的にコース立方体検査を実施し, 退院時の歩行レベル別に群別化し検討したので報告する. 「対象」初回発症の急性期脳卒中患者で初診時にUSNを認めた患者23名, 左USN16名, 脳梗塞11名・脳出血5名, 平均年齢60.6±12.3歳, 右USN7名, 脳梗塞2名・脳出血5名, 平均年齢63.3±9.3歳. 「方法」ジム訓練開始時から退院時まで毎週コース立方体検査を実施した. USNの左右別に退院時の歩行レベルによって自立歩行群, 監視歩行群, 車椅子介助群の3群に辞別化し, コースの成績変化, 退院時のFIMを調べた. 「結果」左USN群・右USN群とも退院時の歩行レベルが良いほど, 成績の伸び率が大きく, 最終得点も高い傾向にあった. 左USN群・右USN群とも自立歩行群はリハビリテーション終了時のコースの得点, 退院時のFIMの総得点とも高く, 車椅子介助群では両者とも低得点であった. 左USN群・右USN群とも歩行レベルの改善とともにコースの得点も上昇するが, 左USN群ではUSN消失後は得点は頭打ちになるのに対し, 右USN群ではUSN消失後も得点が上昇する傾向にある. 歩行能力の向上につれて構成能力も向上するが, USNの存在は本来の構成能力をマスクしている可能性があり, 他の検査バッテリーと併せて総合的に評価する必要がある.
ISSN:0034-351X