家族性副甲状腺機能亢進症におけるHRPT2遺伝子変異
【背景】家族性副甲状腺機能亢進症は稀な家族性腫瘍であり, 現在のところ病型としてはMEN1, MEN2A, FIHP(家族性弧発性副甲状腺機能亢進症), HPT-JT(副甲状腺機能亢進症-顎腫瘍)症候群, FHH(家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症)の5つに分類される. 一般的にはMEN2AとFHHは臨床的に鑑別可能であるので, 他の疾患の鑑別が重要となる. MEN1, FIHP, HPT-JT症候群の中で最も高頻度にみられるMEN1は原因遺伝子がMEN1遺伝子であり, 遺伝子診断が可能である. しかし一部の症例ではMEN1 germline mutationが検出されないことがあり, そ...
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| Published in | 家族性腫瘍 Vol. 4; no. 2; p. A33 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
家族性腫瘍研究会
15.05.2004
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| ISSN | 1346-1052 |
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| Summary: | 【背景】家族性副甲状腺機能亢進症は稀な家族性腫瘍であり, 現在のところ病型としてはMEN1, MEN2A, FIHP(家族性弧発性副甲状腺機能亢進症), HPT-JT(副甲状腺機能亢進症-顎腫瘍)症候群, FHH(家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症)の5つに分類される. 一般的にはMEN2AとFHHは臨床的に鑑別可能であるので, 他の疾患の鑑別が重要となる. MEN1, FIHP, HPT-JT症候群の中で最も高頻度にみられるMEN1は原因遺伝子がMEN1遺伝子であり, 遺伝子診断が可能である. しかし一部の症例ではMEN1 germline mutationが検出されないことがあり, その場合にはFIHPやHPT-JTも考慮しなければならない. 最近HPT-JTの原因遺伝子として染色体lq25-q32上に存在するHRPT2遺伝子が同定されたので, MEN1変異陰性家系におけるHRPT2変異の有無を検討した. 【対象と方法】家族歴より家族性副甲状腺機能亢進症であり, MEN1遺伝子検査でgermline mutationを認めなかった4家系を対象とした. 4家系とも副甲状腺以外の内分泌腺には明らかな病変は認められておらず, FIHPともいえる家系である. HRPT2遺伝子のexon1-17に対して直接シーケンスを行い, 変異の有無を解析した. 【結果】FIHP4家系中1家系に62de15(exon 1)のgermline mutationを認めた. 他の3家系ではgemline mutationは認めなかった. 変異を認めた1家系のprobandは37才男性で, 副甲状腺はsingle glandular diseaseと思われ1腺切除され, その9年後にint-PTHの再上昇を認めて他腺が再発した例であった. 膵, 下垂体には異常は認めていない. 父方祖母が複数回の副甲状腺切除術を受けていた. 【結論】FIHPにおけるHRPT2 germline mutationは稀であるとの報告もあるが, MEN1やFIHPと思われる家系では, まずMEN1遺伝子を検索し, germline mutationのみつからない家系では, 次にHRPT2遺伝子を検査するという戦略が標準的になっていくのではないかと思われる. |
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| ISSN: | 1346-1052 |