超音波振動メス(ハーモニックスカルペル)を用いた腸管吻合の創傷治癒に関する実験的検討

超音波振動メス (ハーモニックスカルペル; 以下, ハーモニックと略記) を用いた腸管切離・吻合における影響とその有用性を, 金属メス, 電気メスと比較して評価した. ビーグル犬12頭を用いおのおのの器具による小腸の切離・吻合を行い, 切離時の出血量および術後第1, 3, 5, 7, 14, 21病日目の吻合部の微細血管構築像と病理組織像で比較検討した. ハーモニックでは切離時の出血はほとんどみられなかった. 微細血管構築像についてはavascular area占居率が金属メスより高かったが, 新生血管占居率に有意差はみられなかった. 病理組織像については腸管の層構造 (粘膜下層, 筋層の構築...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 2; pp. 163 - 168
Main Authors 中島, 三郎, 高尾, 尊身, 内倉, 敬一郎, 新地, 洋之, 愛甲, 孝, 久保, 昌亮, 木原, 研二, 柳, 政行, 前村, 公成, 徳田, 浩喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2000
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.33.163

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Summary:超音波振動メス (ハーモニックスカルペル; 以下, ハーモニックと略記) を用いた腸管切離・吻合における影響とその有用性を, 金属メス, 電気メスと比較して評価した. ビーグル犬12頭を用いおのおのの器具による小腸の切離・吻合を行い, 切離時の出血量および術後第1, 3, 5, 7, 14, 21病日目の吻合部の微細血管構築像と病理組織像で比較検討した. ハーモニックでは切離時の出血はほとんどみられなかった. 微細血管構築像についてはavascular area占居率が金属メスより高かったが, 新生血管占居率に有意差はみられなかった. 病理組織像については腸管の層構造 (粘膜下層, 筋層の構築) の消失と細胞浸潤の広がりを測定した結果, 第14病日では電気メスに比べ良好な組織構造の再生が認められた. 以上よりハーモニックは, 高い止血効果と, 電気メスより早い創傷治癒帰転を有し, 腸管の切離・吻合における臨床的な有用性が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.33.163