MOFにおけるbacterial translocationの実態とその対策

多臓器不全 (MOF) の発症. 増悪因子の一つとしてbacterial translocation (BT) が注目されている. われわれの検討では, MOF症例の10.5%が臨床的にBTと考えられる症例であり, BT合併MOF症例の救命率は24.3%と, 非合併例に比し有意に低かった. 臨床例においてBTを早期に診断するのは困難であるが, IL.6迅速測定法によるIL-6血中濃度の肺動脈血/動脈血比 (PA/A) がBTの早期診断に有用である可能性が示唆された.BTに対する対策として以前より選択的腸管内除菌 (SDD) の効果が検討されている. われわれはBT対策としてSDDと早期よりの経...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 3; pp. 491 - 497
Main Authors 志賀, 英敏, 松田, 兼一, 平澤, 博之, 中西, 加寿也, 仲村, 将高, 織田, 成人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2003
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.23.491

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Summary:多臓器不全 (MOF) の発症. 増悪因子の一つとしてbacterial translocation (BT) が注目されている. われわれの検討では, MOF症例の10.5%が臨床的にBTと考えられる症例であり, BT合併MOF症例の救命率は24.3%と, 非合併例に比し有意に低かった. 臨床例においてBTを早期に診断するのは困難であるが, IL.6迅速測定法によるIL-6血中濃度の肺動脈血/動脈血比 (PA/A) がBTの早期診断に有用である可能性が示唆された.BTに対する対策として以前より選択的腸管内除菌 (SDD) の効果が検討されている. われわれはBT対策としてSDDと早期よりの経腸栄養 (EN) を積極的に施行している. その結果, MOF症例の新たな感染症発症率が低下し, 感染症合併MOF症例の救命率は有意に改善した. BTは, MOF発症・増悪に深く関与しておりBT症例の予後は不良であることから, BTを早期に診断しhighrisk症例に対してはSDD, ENを積極的に施行することが重要であると考えられた.
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.23.491