肝門部胆管癌に対する拡大肝左葉切除兼固有肝動脈ならびに門脈合併切除 再建後12日目に両血管吻合部よりの大量出血に対して施行した緊急処置
術後の大量腹腔内出血に対して, 緊急開腹術により救命が可能であった症例を経験した.症例は65歳女性. 肝門部胆管癌に対して拡大肝左葉切除兼固有肝動脈ならびに門脈合併切除を施行した. 門脈遮断時間は21分, 肝動脈遮断時間は14分ならびに修復のために後刻6分追加した. 術後肝切離面よりの肝汁漏出をわずかに認めたほかは経過良好であったが, 術後12日目に大量の腹腔内出血をきたし, 緊急開腹術を行った. 胆管空腸吻合部の縫合不全や出血は認められなかったが, 肝動脈再建部ならびに門脈再建部より出血しており, 門脈内には血栓の形成を認めた. アンスロン・チューブ ® による門脈・下大静脈バイパスを造設後...
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| Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 6; pp. 911 - 917 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本腹部救急医学会
30.09.2003
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
| DOI | 10.11231/jaem1993.23.911 |
Cover
| Summary: | 術後の大量腹腔内出血に対して, 緊急開腹術により救命が可能であった症例を経験した.症例は65歳女性. 肝門部胆管癌に対して拡大肝左葉切除兼固有肝動脈ならびに門脈合併切除を施行した. 門脈遮断時間は21分, 肝動脈遮断時間は14分ならびに修復のために後刻6分追加した. 術後肝切離面よりの肝汁漏出をわずかに認めたほかは経過良好であったが, 術後12日目に大量の腹腔内出血をきたし, 緊急開腹術を行った. 胆管空腸吻合部の縫合不全や出血は認められなかったが, 肝動脈再建部ならびに門脈再建部より出血しており, 門脈内には血栓の形成を認めた. アンスロン・チューブ ® による門脈・下大静脈バイパスを造設後, 肝動脈については吻合に適さないと判断し結紮切離した.門脈については左大伏在静脈片を間置することにより再再建した. 肝血流遮断時間は3時間であった. 術後, 再出血や多骸器不全に陥ることなく再手術後214日目に退院した. 近年, 術後の腹腔内出血に対してはinterventional radiology (以下, IVR) を第一選択に勧める報告も多い. 開腹術についてはその過大な侵襲より適応には慎重であるべきであるが, 本症例のように肝動脈と門脈双方の血管吻合部に破綻を疑われる場合は躊躇なく開腹手術を行い, 極力肝循環の保持に努めるべきである. |
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| ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
| DOI: | 10.11231/jaem1993.23.911 |