超音波による乳癌検診の問題点の検討 乳癌検診を支えるco-medical sideからの提言

われわれは, オクトソン方式の超音波画像による乳癌の集検を昭和60年から10年間行ってきた。この検診の初期では, 発見癌が少なく, 高頻度の中間期癌がみられた。このため技師の立場から画質の改善をするために装置の改良, 撮像体位の工夫など高い検診効率をめざす努力が強いられてきた。すなわち画質改善のために, 1) TD数の増加, 2) 乳頭乳輪下のアーチファクトの軽減, 3) ブラインドエリアを軽減する撮影体位の工夫, の3点を実行した。見逃しを避けるため, 4) 病変が描出された症例には問診票に異常所見を付記した。医師に多くの情報を与えるため, 5) 技師による視触知所見を添付, および6) 腫...

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Published in日本乳癌検診学会誌 Vol. 5; no. 2; pp. 183 - 187
Main Authors 竹内, 透, 二村, 友佳子, 佐々木, 文雄, 梶原, 和則, 八木, 早苗, 宮下, 民子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会 10.07.1996
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ISSN0918-0729
1882-6873
DOI10.3804/jjabcs.5.183

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Summary:われわれは, オクトソン方式の超音波画像による乳癌の集検を昭和60年から10年間行ってきた。この検診の初期では, 発見癌が少なく, 高頻度の中間期癌がみられた。このため技師の立場から画質の改善をするために装置の改良, 撮像体位の工夫など高い検診効率をめざす努力が強いられてきた。すなわち画質改善のために, 1) TD数の増加, 2) 乳頭乳輪下のアーチファクトの軽減, 3) ブラインドエリアを軽減する撮影体位の工夫, の3点を実行した。見逃しを避けるため, 4) 病変が描出された症例には問診票に異常所見を付記した。医師に多くの情報を与えるため, 5) 技師による視触知所見を添付, および6) 腫瘤部分のthinsliceによる拡大撮影を加えた。これらの努力によっても発見癌は触知例のみで, 中間期癌の数も減少し得なかった。これは超音波画像のあらわす乳癌のechogenicityのスペクトラムが広いため容易に異常の指摘が困難であると推察される。また, 正常の乳腺組織によってできるechogenicityが乳癌と類似するため数多くのFN例の出現も見られている。このため超音波診断装置MAT-1による集検の対象を, digital radiographyによる検診に徐々に移行させている。また, 近い将来, 検診効率の立場から補助診断手段としてマンモグラフィの導入が確実であるが, 人員が確保できれば, マンモグラフィでは検出し得ない非触知癌を目的としたリアルタイム超音波を採用することも検討していかなくてはならない。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.5.183