PTCD内瘻化治療後にガス産生肝膿瘍および急性気腫性胆嚢炎を発症した1剖検例

コントロール不良の糖尿病を合併した術後再発胃癌による肝外閉塞性黄疸に対しPTCD内瘻化治療後にガス産生肝膿瘍および急性気腫性胆嚢炎を発症した1剖検例を報告した.症例は67歳,男性.主訴は黄疸.糖尿病,高血圧,陳旧性脳梗塞,胃癌術後のため外来加療中,膵頭部の腫瘤による閉塞性黄疸および肝転移のため入院となった.PTCDの内瘻化治療後に発熱と肝内(肝転移の部位に一致),胆嚢内,胆嚢壁にガス像が認められた.ガス産生肝膿瘍と急性気腫性胆嚢炎の合併と診断し,エコーガイド下経皮的肝膿瘍および胆嚢ドレナージを施行したが,DIC,消化管出血のため死亡した.剖検では膵頭部の腫瘤は胃癌の再発で肝転移巣内に膿瘍形成が...

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Published in肝臓 Vol. 33; no. 1; pp. 66 - 72
Main Authors 中沼, 安二, 牧野, 博, 佐々木, 素子, 森岡, 健, 蒲田, 敏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.01.1992
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.33.66

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Summary:コントロール不良の糖尿病を合併した術後再発胃癌による肝外閉塞性黄疸に対しPTCD内瘻化治療後にガス産生肝膿瘍および急性気腫性胆嚢炎を発症した1剖検例を報告した.症例は67歳,男性.主訴は黄疸.糖尿病,高血圧,陳旧性脳梗塞,胃癌術後のため外来加療中,膵頭部の腫瘤による閉塞性黄疸および肝転移のため入院となった.PTCDの内瘻化治療後に発熱と肝内(肝転移の部位に一致),胆嚢内,胆嚢壁にガス像が認められた.ガス産生肝膿瘍と急性気腫性胆嚢炎の合併と診断し,エコーガイド下経皮的肝膿瘍および胆嚢ドレナージを施行したが,DIC,消化管出血のため死亡した.剖検では膵頭部の腫瘤は胃癌の再発で肝転移巣内に膿瘍形成が認められた.本例のように気腫性胆嚢炎とガス産生肝膿瘍が同時に合併した症例の報告は我々の検索しえた限りなく,極めて稀な症例と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.33.66