急性肝不全に対する中分子量物質除去療法の検討―特にHigh performance membraneを用いた血液持続濾過の意義
急性肝不全に対して血漿交換をはじあとした血液浄化療法がこれまで行われてきたが, 脳浮腫を防止することは難しい。著者らは血漿交換による浄化には限界のあるとみられる血管外プールに広く存在する中分子物質を脳浮腫起因物質と想定し, High performance membraneを用いた血液持続濾過療法を考案し, 15例の急性肝不全症例に血漿交換に併用して本法を施行した。高速液体クロマトグラフィー上, 患者血清中の異常中分子量物質は血液持続濾過により著明に減少し, 同時に意識レベルの改善傾向が認められた。救命例は2例のみで本システムによる明確な救命効果はえられなかったものの, 死亡例の平均生存期間は...
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| Published in | 人工臓器 Vol. 19; no. 2; pp. 873 - 876 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
15.04.1990
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| ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
| DOI | 10.11392/jsao1972.19.873 |
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| Summary: | 急性肝不全に対して血漿交換をはじあとした血液浄化療法がこれまで行われてきたが, 脳浮腫を防止することは難しい。著者らは血漿交換による浄化には限界のあるとみられる血管外プールに広く存在する中分子物質を脳浮腫起因物質と想定し, High performance membraneを用いた血液持続濾過療法を考案し, 15例の急性肝不全症例に血漿交換に併用して本法を施行した。高速液体クロマトグラフィー上, 患者血清中の異常中分子量物質は血液持続濾過により著明に減少し, 同時に意識レベルの改善傾向が認められた。救命例は2例のみで本システムによる明確な救命効果はえられなかったものの, 死亡例の平均生存期間は15日であり, 5例(38%)が3過間以上生存した。以上の結果より, 血漿交換を併用した血液持続濾過療法は肝不全に対する救命のための本質的な治療とはなりえないが, 肝機能をある期間代行する代謝補助システムとして有用性があると考えられた。 |
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| ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
| DOI: | 10.11392/jsao1972.19.873 |