V-Pシャント手術が奏効した良性頭蓋内圧亢進症の1例

良性頭蓋内圧亢進症とは頭蓋内占拠性病変がなく, 神経症状や脳脊髄液異常を伴わない頭蓋内圧亢進状態に対し用いられている語である. その原因についてJohnstonら7)は43.6%で明らかになったとし, 中耳疾患, 軽微な頭部外傷, 非特異的感染症あるいはステロイド剤投与などを挙げている. しかし, なお原因を確定できないものもある. 我々は著明な頭蓋内圧亢進をきたし, CTスキャンで白質の低吸収域化がみられた症例に対してV-Pシャント術を施行し, 良好な結果を得た1例を経験した. また, V-Pシャント術前・術後に頭蓋内圧連続測定を行い, 検討したので報告する. 症例 <患者>59...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 28; no. 3; pp. 288 - 292
Main Authors 宗本滋, 石黒修三, 木村明, 北林正宏, 石井久雅, 若松弘一, 大日方千春, 東馬康郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 01.03.1988
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ISSN0470-8105

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Summary:良性頭蓋内圧亢進症とは頭蓋内占拠性病変がなく, 神経症状や脳脊髄液異常を伴わない頭蓋内圧亢進状態に対し用いられている語である. その原因についてJohnstonら7)は43.6%で明らかになったとし, 中耳疾患, 軽微な頭部外傷, 非特異的感染症あるいはステロイド剤投与などを挙げている. しかし, なお原因を確定できないものもある. 我々は著明な頭蓋内圧亢進をきたし, CTスキャンで白質の低吸収域化がみられた症例に対してV-Pシャント術を施行し, 良好な結果を得た1例を経験した. また, V-Pシャント術前・術後に頭蓋内圧連続測定を行い, 検討したので報告する. 症例 <患者>59才, 女性 主訴:頭痛, 嘔吐 家族歴:母親が69才で胃癌のため死亡しており, 長男(30才)が喘息にて加療中である. 既往歴:7才時に虫垂炎にて手術, 20才時に婦人科疾患にて開腹術を受けている. また, 44才頃, 閉経している.
ISSN:0470-8105