乳牛の暗黒緑色尿と黄疸を伴ったClostridum perfringens A型菌感染症の一例

1991年5月秋田県の一酪農家において、3歳のホルスタイン種雌が、黄疸、暗黒緑色尿を排泄し、レプトスピラ症などを疑って治療したが翌日死亡した。血液検査では、総ビリルビンおよびGOT、γ-GTP、ALP活性値が著明に上昇し、BUN、血清クレアチニン、血清無機リン上昇もし、ピロプラズマ原虫は陰性であった。尿検査では、ウロビリノーゲン、ヘモグロビンが強陽性であった。剖検では、全身の黄疸著明、腸管の壊死性出血性病変、腎臓のウッ血斑、肝臓の黄変と胆のう腫大、肝蛭寄生は認められなかった。細菌学的検査では、小腸、肝臓、腎臓からClostridium perfringens A型菌が109個/g検出され、レプ...

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Published in東北家畜臨床研究会誌 Vol. 15; no. 1; pp. 44 - 46
Main Authors 田村, 隆男, 金田, 郁雄, 佐藤, 司, 瀬田, 川清, 金沢, 篤志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家畜臨床学会 31.03.1992
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ISSN0916-7579
1883-4590
DOI10.4190/jjvc1990.15.44

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Summary:1991年5月秋田県の一酪農家において、3歳のホルスタイン種雌が、黄疸、暗黒緑色尿を排泄し、レプトスピラ症などを疑って治療したが翌日死亡した。血液検査では、総ビリルビンおよびGOT、γ-GTP、ALP活性値が著明に上昇し、BUN、血清クレアチニン、血清無機リン上昇もし、ピロプラズマ原虫は陰性であった。尿検査では、ウロビリノーゲン、ヘモグロビンが強陽性であった。剖検では、全身の黄疸著明、腸管の壊死性出血性病変、腎臓のウッ血斑、肝臓の黄変と胆のう腫大、肝蛭寄生は認められなかった。細菌学的検査では、小腸、肝臓、腎臓からClostridium perfringens A型菌が109個/g検出され、レプトスピラ菌は検出されなかった。以上の成績から、本症は、Clostridium perfringens A型菌が関与したエンテロトキセミアと診断したが、暗黒緑色尿と黄疸を伴っていることから特異的な症例と思われた。
ISSN:0916-7579
1883-4590
DOI:10.4190/jjvc1990.15.44