SSM (人型結核菌体抽出物質) の悪性腫瘍術後症例の生存率に及ぼす効果に関する検討

SSMの悪性腫瘍患者に対する延命効果を評価するため, 昭和54年4月~昭和56年12月の間にSSMの投与を受けた症例のうちから, 一定の条件を満足する3,838例を抽出した. 次にこれらの症例を手術後SSM療法開始までの期間別に分け, そのうちの手術後3ヵ月未満の間にSSM投与を開始した群 (A群) と, 7ヵ月以上12ヵ月未満の間に開始した群 (C群) の2群間で比較した. この両群について, 手術後12ヵ月の時点の余命を手術後24ヵ月の時点で判定したところ, 次の事実を確認することができた. 1) 胃癌症例の生存率A群46.63% C群35.71%差10.92%肺癌症例の生存率A群53.6...

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Published in日本医科大学雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 89 - 94
Main Authors 飯田, 和美, 新村, 秀一, 三宅, 章彦, 平井, 敏之, 岩城, 弘子, 藤田, 敬四郎, 丸山, 千里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.02.1985
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ISSN0048-0444
1884-0108
DOI10.1272/jnms1923.52.89

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Summary:SSMの悪性腫瘍患者に対する延命効果を評価するため, 昭和54年4月~昭和56年12月の間にSSMの投与を受けた症例のうちから, 一定の条件を満足する3,838例を抽出した. 次にこれらの症例を手術後SSM療法開始までの期間別に分け, そのうちの手術後3ヵ月未満の間にSSM投与を開始した群 (A群) と, 7ヵ月以上12ヵ月未満の間に開始した群 (C群) の2群間で比較した. この両群について, 手術後12ヵ月の時点の余命を手術後24ヵ月の時点で判定したところ, 次の事実を確認することができた. 1) 胃癌症例の生存率A群46.63% C群35.71%差10.92%肺癌症例の生存率A群53.66% C群35.71%差17.95%腸癌症例の生存率A群42.56% C群18.60%差23.96% 2) 手術方法別, 進行程度別の比較はC群の該当症例が十分でないために比較困難な場合もあったが, 比較可能なものではA群の生存率がC群を7.36~28.19%も上回っていた. 3) C群の該当症例が少ない場合でも, A群には相当数の該当症例があり, しかもその生存率は30.77~69.23%と高率であった. 以上の成績より, SSMの悪性腫瘍患者の延命に及ぼす効果を数値により確認することができた.
ISSN:0048-0444
1884-0108
DOI:10.1272/jnms1923.52.89