哺乳豚の新生期下痢に対する注射用ニューキノロン系 抗菌剤オルビフロキサシン(AT-4526)の治療効果

群馬県赤城村の3養豚場においてLWD系哺乳豚(6~18日齢)に発生した新生期下痢症を対象に、注射用ニューキノロン系抗菌剤オルビフロキサシン(OBFX)の治療効果を検討した。 OBFXは下痢発症豚27頭に対し、2.5mg/kg/日(7頭)あるいは5mg/kg/日(20頭)を1日1回、2~5日間筋肉内投与することにより、3~5日目以内に正常便に回復することが全例で認められた。直腸便中の大腸菌数の消長を指標とした細菌学的効果は、2.5および5mg/kg/日投与で、それぞれ100%(7頭/7頭)および90.0%(18頭/20頭)の有効率であった。OBFXの臨床効果はロタウイルスおよびTGEウイルスの存...

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Published in東北家畜臨床研究会誌 Vol. 17; no. 1; pp. 8 - 16
Main Authors 関根, 文雄, 宮原, 雅教, 浜名, 盛浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家畜臨床学会 30.06.1994
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ISSN0916-7579
1883-4590
DOI10.4190/jjvc1990.17.8

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Summary:群馬県赤城村の3養豚場においてLWD系哺乳豚(6~18日齢)に発生した新生期下痢症を対象に、注射用ニューキノロン系抗菌剤オルビフロキサシン(OBFX)の治療効果を検討した。 OBFXは下痢発症豚27頭に対し、2.5mg/kg/日(7頭)あるいは5mg/kg/日(20頭)を1日1回、2~5日間筋肉内投与することにより、3~5日目以内に正常便に回復することが全例で認められた。直腸便中の大腸菌数の消長を指標とした細菌学的効果は、2.5および5mg/kg/日投与で、それぞれ100%(7頭/7頭)および90.0%(18頭/20頭)の有効率であった。OBFXの臨床効果はロタウイルスおよびTGEウイルスの存在に関係なく、腸管内の大腸菌を顕著に抑制することによるものと考えられた。また、本剤の投与によると思われる副作用は全く認められなかった。 一方、分離大腸菌231株はOBFXに最も高い感受性(MIC:0.05-0.78μg/ml)を示し、oxolinic acidおよびbicozamycinと同様に耐性を示す菌株は全く認められなかったが、大部分の菌株はoxytetracycline,kanamycinおよびampicillinに耐性を示す多剤耐性菌であった。 以上のことから、抗生物質耐性菌に有効なOBFXは哺乳豚に発症する新生期下痢に対する治療剤として有用な抗菌剤と考えられた。
ISSN:0916-7579
1883-4590
DOI:10.4190/jjvc1990.17.8