間接免疫ロゼット法による髄液白血球の膜抗原解析 ALL, NHLの中枢神経浸潤と感染症との鑑別

間接免疫ロゼット法により, 寛解中に髄液の白血球増多の見られた患児8例 (common ALL6例, T-ALL1例, T-NHL1例) と無菌性髄膜炎患児10例の髄液白血球の膜抗原検索を行った.髄液白血球が初発時芽球と一致した膜抗原発現が認められた患児6例は, 髄注後, 髄液白血球は速やかに減少し, 経過からも中枢神経浸潤 (CNS浸潤) と考えられた.初発時芽球で見られた膜抗原の有意な発現が認められず, 無菌性髄膜炎と同様にTリンパ球系抗原 (CD2, CD3), 骨髄単球系抗原 (CD13, CD14) の発現が認められた2例は, 経過からもCNS浸潤は否定的で, 経過中に無菌性髄膜炎を...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 6; no. 6; pp. 548 - 553
Main Authors 齋藤, みどり, 鈴木, 敏雄, 杉田, 完爾, 岡崎, 敏子, 中澤, 眞平, 細谷, 亮太, 森, 泰二郎, 黒沢, 祥浩, 木下, 明俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.12.1992
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.6.548

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Summary:間接免疫ロゼット法により, 寛解中に髄液の白血球増多の見られた患児8例 (common ALL6例, T-ALL1例, T-NHL1例) と無菌性髄膜炎患児10例の髄液白血球の膜抗原検索を行った.髄液白血球が初発時芽球と一致した膜抗原発現が認められた患児6例は, 髄注後, 髄液白血球は速やかに減少し, 経過からも中枢神経浸潤 (CNS浸潤) と考えられた.初発時芽球で見られた膜抗原の有意な発現が認められず, 無菌性髄膜炎と同様にTリンパ球系抗原 (CD2, CD3), 骨髄単球系抗原 (CD13, CD14) の発現が認められた2例は, 経過からもCNS浸潤は否定的で, 経過中に無菌性髄膜炎を併発したと考えられた.間接免疫ロゼット法は, 少数の細胞でも検索が可能で, 髄液白血球の膜抗原検索に優れた方法であり, CNS浸潤と無菌性髄膜炎との鑑別診断が可能であった.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.6.548