鬱病患者に発生した上唇癌の1例

鬱病を有する45歳の男性に生じた上唇癌の1例を経験した。まずCPE化学療法 (Cisplatin, Peplomycine, Etoposide) を1コース行った後, 上唇腫瘍の外科的切除を行った。腫瘍切除後に生じる上唇の欠損は口唇幅径の約2/5であったが, 皮弁による再建は患者の同意が得られなかったため, やむなく縫縮し術後に放射線照射 (60Gy) を行った。本例は治療を進めていく途中に, 鬱病の悪化による抑鬱, 焦燥, 不安状態により不眠や排尿困難などの身体症状の訴えが何度も認められ, その対応に大変苦慮した症例であった。術後1年6ヶ月経過した現在, 再発傾向は認められず, また口唇の...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 9; no. 3; pp. 108 - 113
Main Authors 白石, 剛, 山本, 学, 吉武, 一貞, 猪田, 博文, 各務, 慎一, 瀧上, 啓志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 15.09.1997
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.9.108

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Summary:鬱病を有する45歳の男性に生じた上唇癌の1例を経験した。まずCPE化学療法 (Cisplatin, Peplomycine, Etoposide) を1コース行った後, 上唇腫瘍の外科的切除を行った。腫瘍切除後に生じる上唇の欠損は口唇幅径の約2/5であったが, 皮弁による再建は患者の同意が得られなかったため, やむなく縫縮し術後に放射線照射 (60Gy) を行った。本例は治療を進めていく途中に, 鬱病の悪化による抑鬱, 焦燥, 不安状態により不眠や排尿困難などの身体症状の訴えが何度も認められ, その対応に大変苦慮した症例であった。術後1年6ヶ月経過した現在, 再発傾向は認められず, また口唇の大きな変形, 摂食・発語・開閉口時の機能障害などの後遺症は認められず経過良好である。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.9.108