Physical therapy after rotational infraspinatus muscle transfer for a patient of pseudoparalysis with rotator cuff tear

広範囲腱板断裂によって偽性麻痺を呈した症例に対する棘下筋回転移行術の後療法を経験した。症例は70代前半の男性で自動挙上60°と挙上困難が主訴だった。断裂サイズは内外側径60mm、肩峰骨頭間距離(AHI)4.5mm、脂肪変性Goutallier classification : 棘上筋stage 4/棘下筋stage 4と再断裂リスクが非常に高いため後療法に難渋した。棘下筋回転移行術は棘下筋を棘下窩から完全に剥離するため癒着するまでには棘下筋の活動は期待できず、術後早期は肩甲下筋による骨頭の押し下げ機能を期待して肩甲下筋の運動を重点的に行なった。症例の術前挙上はシュラッグ挙上(上腕骨頭の上方すべ...

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Published inJournal of physical therapy, Fukuoka Vol. 37; p. 53
Main Authors 原田 伸哉, 石谷 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published fukuoka physical therapy association 2024
公益社団法人 福岡県理学療法士会
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ISSN1342-1433
2758-0652
DOI10.57315/fpta.37.0_53

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Summary:広範囲腱板断裂によって偽性麻痺を呈した症例に対する棘下筋回転移行術の後療法を経験した。症例は70代前半の男性で自動挙上60°と挙上困難が主訴だった。断裂サイズは内外側径60mm、肩峰骨頭間距離(AHI)4.5mm、脂肪変性Goutallier classification : 棘上筋stage 4/棘下筋stage 4と再断裂リスクが非常に高いため後療法に難渋した。棘下筋回転移行術は棘下筋を棘下窩から完全に剥離するため癒着するまでには棘下筋の活動は期待できず、術後早期は肩甲下筋による骨頭の押し下げ機能を期待して肩甲下筋の運動を重点的に行なった。症例の術前挙上はシュラッグ挙上(上腕骨頭の上方すべり)で肩甲骨と上腕骨が一塊となる挙上パターンだった。術後も同様の挙上パターンでは、上腕骨頭による下から突き上げにより縫合腱板の再断裂を助長すると考え後療法を工夫した。上肢を「上に引き挙げる」のではなく「前に押し出す」よう意識するために肩甲骨運動から開始し、ミリタリープレスにて挙上パターンの再学習を行なった。術後6ヶ月で腱板の修復には成功したが自動挙上可動域は65°と改善せず、術後1年で135°まで改善した。再断裂リスクが高い場合は、術後経過において挙上可動域の獲得は焦らずに修復腱板の保護を最優先に考える必要がある。 シュラッグ挙上を防止するために肩甲骨運動や挙上パターンの再学習などの運動療法を漸増的に展開したことが再断裂防止かつ挙上獲得に繋がったと考えられた。棘下筋回転移行術後の運動療法は残存する肩甲下筋の収縮練習、肩甲骨外転・上方回旋による「肩甲骨を押し出す」運動、ミリタリープレスによる「上肢を押し出す」運動を学習することが有用かもしれない。
ISSN:1342-1433
2758-0652
DOI:10.57315/fpta.37.0_53