鰓性癌の臨床的検討 1症例報告と本邦における101例の検討

症例は53歳, 男性, 左頸部腫瘤を主訴に来院した。左側胸鎖乳突筋上部前縁に40×30mm大の腫瘤を触知した。超音波下細胞診にてClass IVであり悪性細胞を疑う所見が認められたが, 他に耳鼻咽喉科領域, 全身検索にて異常は認めなかった。全身麻酔下にて左頸部腫瘤摘出術を施行し, 術中迅速診断にて扁平上皮癌と診断されたため, 左頸部郭清術を施行した。術後, 放射線治療を計64Gy施行し, CBDCA, UFTを併用した化学療法も施行した。治療後5年1ヶ月経過するが, 再発転移は認めていない。鰓性癌は本邦では本例を含め101例が報告されている。男女比が2.5 : 1で, 発症年齢は50~60代が...

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Published in頭頸部癌 Vol. 30; no. 3; pp. 509 - 514
Main Authors 佃, 守, 香取, 秀明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本頭頸部癌学会 25.10.2004
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ISSN1349-5747
1881-8382
DOI10.5981/jjhnc.30.509

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Summary:症例は53歳, 男性, 左頸部腫瘤を主訴に来院した。左側胸鎖乳突筋上部前縁に40×30mm大の腫瘤を触知した。超音波下細胞診にてClass IVであり悪性細胞を疑う所見が認められたが, 他に耳鼻咽喉科領域, 全身検索にて異常は認めなかった。全身麻酔下にて左頸部腫瘤摘出術を施行し, 術中迅速診断にて扁平上皮癌と診断されたため, 左頸部郭清術を施行した。術後, 放射線治療を計64Gy施行し, CBDCA, UFTを併用した化学療法も施行した。治療後5年1ヶ月経過するが, 再発転移は認めていない。鰓性癌は本邦では本例を含め101例が報告されている。男女比が2.5 : 1で, 発症年齢は50~60代が多く, 扁平上皮癌が大部分を占めていた。予後不良例が多く, 腫瘍摘出術のみでなく, 頸部郭清術を施行したほうが予後の改善が期待でき, また手術, 放射線治療, 化学療法を組合した集学的治療が望ましいと判断された。
ISSN:1349-5747
1881-8382
DOI:10.5981/jjhnc.30.509