虚血時脂質中間代謝体lysophosphatidylcholineの単一心室筋細胞活動電位と膜電流に及ぼす効果
虚血で増加する両親媒性の脂質中間代謝体lysophosphatidylcholine (LPC) の, モルモット単一心室筋細胞活動電位と膜電流に対する作用を, パッチクランプ用電極を用いて検討した.0.2Hzで電気刺激しつつLPC (10~50μM) を作用させると, 静止電位が減少し, 活動電位は一過性に延長したが, 一過性後脱分極による自発放電の開始とともに著明に短縮した.電気刺激を行わない細胞でも, LPCは静止電位を階段状に減少させ, これが閾値に達すると自発放電を生じた.保持電位を-30mVにして細胞全体の膜電位固定を行うと, 遅い内向き電流は僅かに, 内向き整流Kチャネルを通るK...
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Published in | 心電図 Vol. 6; no. 1; pp. 25 - 34 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本不整脈心電学会
30.01.1986
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1660 1884-2437 |
DOI | 10.5105/jse.6.25 |
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Summary: | 虚血で増加する両親媒性の脂質中間代謝体lysophosphatidylcholine (LPC) の, モルモット単一心室筋細胞活動電位と膜電流に対する作用を, パッチクランプ用電極を用いて検討した.0.2Hzで電気刺激しつつLPC (10~50μM) を作用させると, 静止電位が減少し, 活動電位は一過性に延長したが, 一過性後脱分極による自発放電の開始とともに著明に短縮した.電気刺激を行わない細胞でも, LPCは静止電位を階段状に減少させ, これが閾値に達すると自発放電を生じた.保持電位を-30mVにして細胞全体の膜電位固定を行うと, 遅い内向き電流は僅かに, 内向き整流Kチャネルを通るK電流 (IK1) は著明に, 減少した.12分以上の作用では, 再分極に際し一過性内向き電流が発生した.Cell-attached modeによるパッチクランプでは, 電極内から与えたLPC (5-100μM) が, 内向き整流Kチャネルの開口確率を変えることなく, そのunitary conductanceを著明に減少させた.以上より, LPCの初期作用は外向きIK1電流の減少による脱分極であり、その後細胞内にCa overloadが生じ, 非特異的陽イオンチャネルを開口させ, 自発性放電を生じるものと考えられる. |
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ISSN: | 0285-1660 1884-2437 |
DOI: | 10.5105/jse.6.25 |