食道静脈瘤治療の効果判定と長期予後 造影MR angiographyを用いた検討

食道静脈瘤治療の評価方法として呼吸停止下3D造影MR angiography (造影MRA) の有用性について諸家の報告と比較検討した.対象は17例の食道静脈瘤患者で全例肝硬変であった.エタノラミンオレート (EO) の静脈瘤内注入を基本とした内視鏡的硬化療法 (EIS) を施行し, 静脈瘤穿刺が不可能となった時点で, 地固め療法に切り替えた.治療直前と治療後1カ月の時点で造影MRAを施行した.治療前の造影MRAでは供血路としての左胃静脈, 下部食道静脈瘤を同定し, 治療後の変化を評価, また再発症例との比較検討を試みた.治療中に良好な静脈瘤造影を得た症例, すなわち硬化剤が確実に注入された症...

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Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 6; no. 3; pp. 138 - 144
Main Authors 高橋, 寛, 大渕, 真男, 井上, 和明, 藤田, 力也, 庄司, 達弘, 与芝, 真, 山口, 芳美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 15.11.2000
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ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph1999.6.3_138

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Summary:食道静脈瘤治療の評価方法として呼吸停止下3D造影MR angiography (造影MRA) の有用性について諸家の報告と比較検討した.対象は17例の食道静脈瘤患者で全例肝硬変であった.エタノラミンオレート (EO) の静脈瘤内注入を基本とした内視鏡的硬化療法 (EIS) を施行し, 静脈瘤穿刺が不可能となった時点で, 地固め療法に切り替えた.治療直前と治療後1カ月の時点で造影MRAを施行した.治療前の造影MRAでは供血路としての左胃静脈, 下部食道静脈瘤を同定し, 治療後の変化を評価, また再発症例との比較検討を試みた.治療中に良好な静脈瘤造影を得た症例, すなわち硬化剤が確実に注入された症例については造影MRAにおける改善度も高い傾向がみられたが, 再発の度合いと造影MRA改善度との間には明らかな関連性は見出せなかった.一方, 造影MRAで効果を認めながら, 再発した症例では, 地固め療法が不十分な傾向が認められた.造影MRAは門脈系全体を客観的に評価でき, 安全性の高い効果判定法であると考えられたが, 長期予後判定因子としては造影MRA所見だけでなく, 十分な地固め療法を施行しておくことが重要であると思われた.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph1999.6.3_138