頭頸部悪性腫瘍手術における原発巣切除術と頸部郭清術併施の手術時間に関する全国アンケート調査

頸部郭清術は頭頸部癌治療の中で重要な役割を担う術式であり, 日本頭頸部外科学会が認定する頭頸部がん専門医を取得する際には本手術の習得が求められる. 頸部郭清術は原発巣切除術と併施されることが多いが, 原発巣切除術を外切開で行う場合は頸部郭清術も同一術野になりやすく, 原発巣との一塊切除となる. 一方, 近年, 原発巣切除術の術式は大きく変化しており, 特に咽喉頭においては内視鏡を用いた経口的切除が主流になりつつあるが, この場合は原発巣の切除と頸部郭清術は全く別術野の手術となる. 原発巣切除術の多様化によって, 併施される頸部郭清術についてどのくらいの時間や労力がかかるのか, 原発部位によって...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 124; no. 5; pp. 783 - 789
Main Authors (日本頭頸部外科学会頸部郭清術の保険点数改訂に向けたワーキンググループ), 平野, 滋, 朝蔭, 孝宏, 猪原, 秀典, 花井, 信広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2021
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.124.783

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Summary:頸部郭清術は頭頸部癌治療の中で重要な役割を担う術式であり, 日本頭頸部外科学会が認定する頭頸部がん専門医を取得する際には本手術の習得が求められる. 頸部郭清術は原発巣切除術と併施されることが多いが, 原発巣切除術を外切開で行う場合は頸部郭清術も同一術野になりやすく, 原発巣との一塊切除となる. 一方, 近年, 原発巣切除術の術式は大きく変化しており, 特に咽喉頭においては内視鏡を用いた経口的切除が主流になりつつあるが, この場合は原発巣の切除と頸部郭清術は全く別術野の手術となる. 原発巣切除術の多様化によって, 併施される頸部郭清術についてどのくらいの時間や労力がかかるのか, 原発部位によってどの程度異なるのかは明らかでない. そこで, 本ワーキンググループでは, 舌, 咽頭, 喉頭の悪性腫瘍手術で頸部郭清術併施に要する時間について, 全国の頭頸部がん専門医制度の指定研修施設および日本耳鼻咽喉科学会専門医制度の定める研修施設を対象として全国アンケート調査を施行した. その結果, 併施する頸部郭清術に要する時間は, 原発巣切除術が経口的な場合は単独の頸部郭清術に要する時間と同等であり, 一方, 原発巣切除術が外切開による場合は短縮していた. ただし例外的に, 喉頭悪性腫瘍手術 切除の場合では同等であった. こうしたことから, 同じ頸部郭清術であっても併施する原発巣切除の術式によって, その時間的労力は大きく異なることが明らかとなった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.124.783