タウロヒオデオキシコール酸が有する胆汁中リン脂質排出促進作用とその機序 ─胆汁酸肝組織障害に対する治療薬開発を目指したABCB4活性化分子の探索
「1. はじめに」 胆汁酸には, 肝臓内でコレステロールから生合成される一次胆汁酸や, 一次胆汁酸が腸内細菌によって脱水酸化を受けた二次胆汁酸などがある. また, 生体内において, 多くの胆汁酸はタウリンやグリシンがアミド結合した抱合型胆汁酸として存在する. これら胆汁酸は, ステロイド骨格に付加された水酸基やカルボン酸などが形成する親水的領域と反対側が形成する疎水的領域に起因した界面活性作用を有する. 胆嚢内に蓄積された胆汁酸は, 食事摂取に応答して上部小腸から分泌されたコレシストキニンの胆嚢収縮作用によって十二指腸へと流入し, 食事由来の脂質や脂溶性ビタミンの腸管吸収を助ける働きをする....
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| Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 140; no. 11; pp. 1329 - 1334 |
|---|---|
| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.11.2020
日本薬学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
| DOI | 10.1248/yakushi.20-00156 |
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| Summary: | 「1. はじめに」 胆汁酸には, 肝臓内でコレステロールから生合成される一次胆汁酸や, 一次胆汁酸が腸内細菌によって脱水酸化を受けた二次胆汁酸などがある. また, 生体内において, 多くの胆汁酸はタウリンやグリシンがアミド結合した抱合型胆汁酸として存在する. これら胆汁酸は, ステロイド骨格に付加された水酸基やカルボン酸などが形成する親水的領域と反対側が形成する疎水的領域に起因した界面活性作用を有する. 胆嚢内に蓄積された胆汁酸は, 食事摂取に応答して上部小腸から分泌されたコレシストキニンの胆嚢収縮作用によって十二指腸へと流入し, 食事由来の脂質や脂溶性ビタミンの腸管吸収を助ける働きをする. そして, 胆汁中へと排出された胆汁酸の多くは腸管から再吸収され, 腸肝循環を受ける. また, 核内受容体Farnesoid X receptorやGタンパク共役型受容体TGR5, スフィンゴシン-1-リン酸受容体2型などが胆汁酸と直接作用することが報告されている. |
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| ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
| DOI: | 10.1248/yakushi.20-00156 |