アミノ酸シグナルによる骨格維持機構

「1. はじめに」 骨格系は, 脊椎動物の最も基本的な特徴であり, 生体の支持や運動機能の維持に必須の役割を果たすが, 同時に生体のカルシウムイオン貯蔵庫としてその血中濃度維持にも不可欠である. 骨組織では, 破骨細胞, 骨芽細胞及び軟骨細胞を中心に様々な細胞が密接して存在するが, このように多様な細胞が集合する組織においては, 細胞同士の協調が組織機能の発現と維持に必須なので, 細胞間連絡を担う情報伝達物質の役割が非常に重要であると考えられる. よって, これらの細胞に対して特異的に作用する物質を新たに特定することは, 各細胞の分化・成熟・機能の制御機構解明に留まらず, それぞれの細胞機能異...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 7; pp. 799 - 802
Main Author 宝田, 剛志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.07.2013
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.13-00062

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Summary:「1. はじめに」 骨格系は, 脊椎動物の最も基本的な特徴であり, 生体の支持や運動機能の維持に必須の役割を果たすが, 同時に生体のカルシウムイオン貯蔵庫としてその血中濃度維持にも不可欠である. 骨組織では, 破骨細胞, 骨芽細胞及び軟骨細胞を中心に様々な細胞が密接して存在するが, このように多様な細胞が集合する組織においては, 細胞同士の協調が組織機能の発現と維持に必須なので, 細胞間連絡を担う情報伝達物質の役割が非常に重要であると考えられる. よって, これらの細胞に対して特異的に作用する物質を新たに特定することは, 各細胞の分化・成熟・機能の制御機構解明に留まらず, それぞれの細胞機能異常に関連する疾患の予防や治療に対し, 極めて重要な意義を持つと推察される. 現在のところ, 骨格組織の機能維持には, 各種のホルモンやサイトカインを介する細胞間ネットワーク機構が深く関与する事実が解明されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00062