日本及び海外製サリドマイド製剤の溶出挙動及び血中濃度推移の比較
「緒言」サリドマイドは1958年に日本で市販され, 催眠薬あるいは手術前の緊張不安状態に対する鎮静薬として使用された. しかし, その後, 妊娠初期に服用すると胎児に催奇形性のあることが明らかになり, W.Lenz博士の警告などにより1962年に販売が中止及び回収され, 日本では薬害事件として多くの被害者を出した. サリドマイドは血管新生を阻害することにより組織形成が障害されて, 催奇形性を起こすと考えられている. しかし, 近年, サリドマイドの血管新生阻害作用が悪性腫瘍の増大を阻害することが明らかになり, 臨床試験により多発性骨髄腫に有効であることが報告された.1) サリドマイドを再市販す...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 128; no. 10; pp. 1449 - 1457 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.10.2008
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.128.1449 |
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Summary: | 「緒言」サリドマイドは1958年に日本で市販され, 催眠薬あるいは手術前の緊張不安状態に対する鎮静薬として使用された. しかし, その後, 妊娠初期に服用すると胎児に催奇形性のあることが明らかになり, W.Lenz博士の警告などにより1962年に販売が中止及び回収され, 日本では薬害事件として多くの被害者を出した. サリドマイドは血管新生を阻害することにより組織形成が障害されて, 催奇形性を起こすと考えられている. しかし, 近年, サリドマイドの血管新生阻害作用が悪性腫瘍の増大を阻害することが明らかになり, 臨床試験により多発性骨髄腫に有効であることが報告された.1) サリドマイドを再市販する準備として2004年に日本臨床血液学会医薬品等適正使用評価委員会が作成した「多発性骨髄腫に対するサリドマイドの適正使用ガイドライン」では, サリドマイドは予後不良な多発性骨髄腫の治療薬として位置付けられている. しかし, 2008年1月現在, サリドマイド製剤は米国, イギリス, メキシコ, ブラジルなどで認可されているものの, 日本では承認審査の段階にある. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.128.1449 |