可溶性フィブリンを用いた術後DVT/PTE検索プロトコールの有用性

「I 背景」 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism : PTE)は主に深部静脈血栓症(deep vein thrombosis : DVT)で形成された血栓が血流にのって肺動脈を閉塞し, 肺循環障害を招く病態である. 本邦における呼吸器外科手術後の肺血栓塞栓症合併頻度は0.58~0.99%と報告されている. またSakonらは日本における一般外科手術後の肺血栓塞栓症の現状について検討し, 症候性PTEの頻度が腹部手術よりも胸部外科手術で有意に高く(1.2% vs 0.32%), 特に肺癌手術では2.94%とさらに危険であることを報告している. PTEは一度発症すると...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 70; no. 6; pp. 383 - 389
Main Authors 井手, 祥吾, 江口, 隆, 清水, 公裕, 竹田, 哲, 松岡, 峻一郎, 濱中, 一敏, 小池, 幸恵, 三島, 修治, 三浦, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.12.2022
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.70.383

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Summary:「I 背景」 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism : PTE)は主に深部静脈血栓症(deep vein thrombosis : DVT)で形成された血栓が血流にのって肺動脈を閉塞し, 肺循環障害を招く病態である. 本邦における呼吸器外科手術後の肺血栓塞栓症合併頻度は0.58~0.99%と報告されている. またSakonらは日本における一般外科手術後の肺血栓塞栓症の現状について検討し, 症候性PTEの頻度が腹部手術よりも胸部外科手術で有意に高く(1.2% vs 0.32%), 特に肺癌手術では2.94%とさらに危険であることを報告している. PTEは一度発症すると死亡率が高く, 特に肺切除後は肺血管床の減少した状態であるため容易に重症化することが推測され, 主な原因となるDVTを含め早期の診断と急速な対応が重要となってくる. 整形外科領域等では術後のDVT, PTEの早期診断にD-dimerおよび可溶性フィブリン(soluble fibrin : SF)が有用との報告があるが, 呼吸器外科領域においてSFをDVT/PTE診断マーカーとして用いた報告はない.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.70.383