審査腹腔鏡にて診断できた悪性腹膜中皮腫の1例

「I 緒言」悪性腹膜中皮腫では, 腹腔内に多発する腫瘤と腹水を生じるために固形癌の癌性腹膜炎との鑑別に難渋する場合があり, 腹水細胞診や腹水セルブロック法を用いた免疫染色でも診断に至らない場合には生検による病理組織学的検査が必要となる. 近年, 進行卵巣癌などにおいて腹腔内観察や進行期決定のための審査腹腔鏡の有効性が報告されており, 今回, 我々は審査腹腔鏡にて診断できた悪性腹膜中皮腫の1例を経験したため報告する. 「II 症例」症例は68歳の2妊2産の女性で身長は158cm, 体重は49kgであった. 45歳で閉経し, 合併症として糖尿病と高血圧があり, 30歳代に左卵巣嚢腫に対して左付属器...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 71; no. 2; pp. 109 - 114
Main Authors 塩沢, 丹里, 小原, 久典, 山田, 靖, 井田, 耕一, 宮本, 強, 杉山, 結理佳, 内山, 夏紀, 竹内, 穂高, 平林, 暸, 小泉, 知展, 品川, 真奈花
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.04.2023
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.71.109

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Summary:「I 緒言」悪性腹膜中皮腫では, 腹腔内に多発する腫瘤と腹水を生じるために固形癌の癌性腹膜炎との鑑別に難渋する場合があり, 腹水細胞診や腹水セルブロック法を用いた免疫染色でも診断に至らない場合には生検による病理組織学的検査が必要となる. 近年, 進行卵巣癌などにおいて腹腔内観察や進行期決定のための審査腹腔鏡の有効性が報告されており, 今回, 我々は審査腹腔鏡にて診断できた悪性腹膜中皮腫の1例を経験したため報告する. 「II 症例」症例は68歳の2妊2産の女性で身長は158cm, 体重は49kgであった. 45歳で閉経し, 合併症として糖尿病と高血圧があり, 30歳代に左卵巣嚢腫に対して左付属器摘出術, 50歳代に左鼠径ヘルニアに対して修復術が行われていた. 体重減少を主訴に近医内科を受診し, 造影CT検査を施行したところ腹腔内に腹膜播種を疑う腫瘤が多数認められた.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.71.109