信州大学医学部附属病院における血液培養検査の陽性率と検出菌の年次別検討
I はじめに 敗血症は血液培養にて菌が証明され, 発熱, 悪寒, 頻脈, 低血圧あるいはショック, 白血球増多症などの臨床症状あるいは検査所見があるものと定義されていた1)が, 高齢化や医療の高度化による患者背景の変化に伴いその概念が変わりつつある. 最近, 細菌感染を伴わない熱傷や多発外傷でも全身の炎症反応を起こすことが明らかとなり, 細菌感染の有無に関わらない全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)という概念が確立している2). その中で, 敗血症は感染症に起因したSIRSという位置づけにあるが, 臨床における敗血症の...
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          | Published in | 信州医学雑誌 Vol. 54; no. 5; pp. 257 - 263 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            信州医学会
    
        2006
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0037-3826 1884-6580  | 
| DOI | 10.11441/shinshumedj.54.257 | 
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| Summary: | I はじめに 敗血症は血液培養にて菌が証明され, 発熱, 悪寒, 頻脈, 低血圧あるいはショック, 白血球増多症などの臨床症状あるいは検査所見があるものと定義されていた1)が, 高齢化や医療の高度化による患者背景の変化に伴いその概念が変わりつつある. 最近, 細菌感染を伴わない熱傷や多発外傷でも全身の炎症反応を起こすことが明らかとなり, 細菌感染の有無に関わらない全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)という概念が確立している2). その中で, 敗血症は感染症に起因したSIRSという位置づけにあるが, 臨床における敗血症の重要性に変化はない. 新しい敗血症の診断基準では必ずしも菌の検出を必要としないが2), 的確な治療を行うためには起因菌の同定は不可欠であり, 血液培養検査を行う意義は大きい. また, 感染症が原因と推測される不明熱の場合, 血液培養を行い, 起因菌を同定することで, 菌種から経験的に原発巣の推定が可能なこともある. | 
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| ISSN: | 0037-3826 1884-6580  | 
| DOI: | 10.11441/shinshumedj.54.257 |