神経障害性疼痛による中枢神経系の可塑的変化と薬物療法

「1. はじめに」歯科医療において, 痛みの制御は最も重要な課題のひとつである. 触圧覚, 温度感覚といった体性感覚や視覚, 聴覚などの特殊感覚の中で, 痛覚は情動的な側面が非常に大きい点に大きな特徴がある. 例えば, 事故で負傷した直後に余り痛みを感じなかったり, 逆に恐怖を感じている際にちょっとした刺激に対して強い痛みを感じることは誰しも経験があるだろう. このような所見は, 痛みが生じる上で重要なのは, 末梢神経系から中枢神経系に伝達される, いわゆるボトムアップ信号, だけではないことを示している. すなわち, 学習や経験あるいは心的状態に応じた中枢神経系の働きによって, 痛みの質や程...

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Published in歯科薬物療法 Vol. 40; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 小林, 真之, 藤田, 智史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科薬物療法学会 2021
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ISSN0288-1012
1884-4928
DOI10.11263/jsotp.21.23

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Summary:「1. はじめに」歯科医療において, 痛みの制御は最も重要な課題のひとつである. 触圧覚, 温度感覚といった体性感覚や視覚, 聴覚などの特殊感覚の中で, 痛覚は情動的な側面が非常に大きい点に大きな特徴がある. 例えば, 事故で負傷した直後に余り痛みを感じなかったり, 逆に恐怖を感じている際にちょっとした刺激に対して強い痛みを感じることは誰しも経験があるだろう. このような所見は, 痛みが生じる上で重要なのは, 末梢神経系から中枢神経系に伝達される, いわゆるボトムアップ信号, だけではないことを示している. すなわち, 学習や経験あるいは心的状態に応じた中枢神経系の働きによって, 痛みの質や程度は大きく変化する.
ISSN:0288-1012
1884-4928
DOI:10.11263/jsotp.21.23