顎矯正手術患者が光に不安定なビタミンB12錠を簡易懸濁法で有効に服用するための薬学的工夫

「諸言」 顎矯正手術は咬合などの顎口腔機能や顔貌の改善を目的として行われ, 口腔外科では頻度の高い手術である. この顎矯正手術の問題点のひとつに術後の口唇周囲を中心とした知覚異常があり, 特に下顎枝矢状分割術では術直後より下唇・オトガイ部に高頻度に発症する. 術後の知覚異常は多くの場合, 術後6か月から9か月までに消失するが, 長期化して症状が固定し, 知覚麻痺が残存する患者もいる. 愛知学院大学歯学部附属病院(以下, 附属病院)では, 顎矯正手術後の知覚異常を治療するために, ビタミンB12製剤であるメコバラミン錠の投与(1日1,500μg)を行っている. しかし, 顎矯正手術患者は, 術後...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY Vol. 37; no. 3; pp. 87 - 91
Main Authors 宮地, 斉, 渡邊, 法男, 山村, 恵子, 長田, 孝司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科薬物療法学会 2018
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0288-1012
1884-4928
DOI10.11263/jsotp.3002

Cover

More Information
Summary:「諸言」 顎矯正手術は咬合などの顎口腔機能や顔貌の改善を目的として行われ, 口腔外科では頻度の高い手術である. この顎矯正手術の問題点のひとつに術後の口唇周囲を中心とした知覚異常があり, 特に下顎枝矢状分割術では術直後より下唇・オトガイ部に高頻度に発症する. 術後の知覚異常は多くの場合, 術後6か月から9か月までに消失するが, 長期化して症状が固定し, 知覚麻痺が残存する患者もいる. 愛知学院大学歯学部附属病院(以下, 附属病院)では, 顎矯正手術後の知覚異常を治療するために, ビタミンB12製剤であるメコバラミン錠の投与(1日1,500μg)を行っている. しかし, 顎矯正手術患者は, 術後, 骨切りされた顎骨骨片が安定するまで金属ワイヤーによる顎間固定もしくは顎間ゴムによる牽引をする必要があり, 開口制限を受けるため, 錠剤をそのまま服用することが困難な状態が多い. 服用が困難な場合は, 薬剤を粉砕して水道水で溶解する, もしくは直接錠剤を温湯で溶解して, ストローで服用させている.
ISSN:0288-1012
1884-4928
DOI:10.11263/jsotp.3002