頸部回旋時の眼振から診断に至った椎骨動脈解離を伴う Bow hunter 症候群の1例
「緒言」Bow hunter症候群(bow hunter's syndrome:以下BHS)は頸部回旋によって椎骨脳底動脈の血流低下を生じ, めまいをはじめとする様々な椎骨脳底動脈循環不全の症状をきたす病態である. 1978年にアーチェリーの練習中に脳幹梗塞を来したSorensenの症例報告をはじめとして, これまで症例報告が積み重ねられている. 症例はアジアからの報告が多く, 男女比は2対1であり好発年齢は50~70歳とされるが, 小児例の報告もある. 頸部回旋することで回旋側と対側の椎骨動脈が狭窄し, 好発部位は環椎軸椎レベルであるが, 比較的症例が少ないこともあり治療方針には明...
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Published in | Equilibrium Research Vol. 81; no. 4; pp. 199 - 205 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
31.08.2022
日本めまい平衡医学会 |
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ISSN | 0385-5716 1882-577X |
DOI | 10.3757/jser.81.199 |
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Summary: | 「緒言」Bow hunter症候群(bow hunter's syndrome:以下BHS)は頸部回旋によって椎骨脳底動脈の血流低下を生じ, めまいをはじめとする様々な椎骨脳底動脈循環不全の症状をきたす病態である. 1978年にアーチェリーの練習中に脳幹梗塞を来したSorensenの症例報告をはじめとして, これまで症例報告が積み重ねられている. 症例はアジアからの報告が多く, 男女比は2対1であり好発年齢は50~70歳とされるが, 小児例の報告もある. 頸部回旋することで回旋側と対側の椎骨動脈が狭窄し, 好発部位は環椎軸椎レベルであるが, 比較的症例が少ないこともあり治療方針には明確なガイドラインが存在せず, 症例に応じて治療法が選択されている. めまいを主訴に受診することがあるが, 眼振所見のみでは確定診断が難しく画像検査が必要となる. 今回我々は頸部回旋により眼振を伴うめまいを生じ, MRA, 血管造影, 頸部エコーにより診断に至ったBHSの1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.81.199 |