自律神経失調症を疑っためまい症例の経過と睡眠障害の関与

「はじめに」めまい患者の睡眠障害の有症率は60~70%程度と報告されている. しかし, めまい症の原因は多岐に亘るため, 各めまい疾患により睡眠が関与する様式や影響の程度に差異があると考えられる. 自律神経失調症 (Autonomic Imbalance : AI) では, 自験例において約8割に睡眠障害が疑われた. 前庭と自律神経は前庭血圧反射などで関係しており, 睡眠障害とAIの関連も指摘されている. また, 前庭から橋網様体への入力により, 前庭障害が睡眠障害の原因になる可能性も指摘がされている. すなわち, 睡眠と前庭, 自律神経は相互にめまいの成因に影響を与えている可能性がある. ま...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inEquilibrium Research Vol. 80; no. 6; pp. 527 - 539
Main Authors 永井, 賀子, 許斐, 氏元, 大塚, 康司, 齊藤, 雄, 稲垣, 太郎, 井谷, 茂人, 小川, 恭生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 31.12.2021
日本めまい平衡医学会
Online AccessGet full text
ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.80.527

Cover

More Information
Summary:「はじめに」めまい患者の睡眠障害の有症率は60~70%程度と報告されている. しかし, めまい症の原因は多岐に亘るため, 各めまい疾患により睡眠が関与する様式や影響の程度に差異があると考えられる. 自律神経失調症 (Autonomic Imbalance : AI) では, 自験例において約8割に睡眠障害が疑われた. 前庭と自律神経は前庭血圧反射などで関係しており, 睡眠障害とAIの関連も指摘されている. また, 前庭から橋網様体への入力により, 前庭障害が睡眠障害の原因になる可能性も指摘がされている. すなわち, 睡眠と前庭, 自律神経は相互にめまいの成因に影響を与えている可能性がある. また, ピッツバーグ睡眠質問票 (PSQI) は, 睡眠障害の感度と特異度が共に約85%と高く, 他群間の比較が可能である. 10項目21点満点の質問票であり, この点数をPSQI global score (PSQIG) として, 6点以上 (cut off : 5.5点) に睡眠障害を疑う.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.80.527