山陽小野田市に在住する高齢者の食生活の実態と健康上の課題

本研究では,65歳から74歳の高齢者を対象として,食生活の実態と体組成計による栄養状態指標や身体機能,認知機能との関連を明らかにすることを目的とした. 山口県山陽小野田市が実施する集団検診で特定健診を受診した65歳から74歳の高齢者120人を対象とし,基本情報と健康状態,食摂取頻度や食習慣,体組成,栄養状態,身体機能,認知機能などを評価し,さらに男性(51人)と女性(69人),および栄養状態良好群(84人)と低栄養のおそれまたは低栄養群(36人)の2群間でそれらの比較検討を行った. 男性は,エネルギー摂取量・タンパク質摂取量が不足しており(P<0.01),18食品群ではいも類・豆類・魚介...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in山口医学 Vol. 72; no. 1; pp. 5 - 18
Main Authors 野垣, 宏, 長谷, 亮佑, 片岡, 雅美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 28.02.2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.72.5

Cover

More Information
Summary:本研究では,65歳から74歳の高齢者を対象として,食生活の実態と体組成計による栄養状態指標や身体機能,認知機能との関連を明らかにすることを目的とした. 山口県山陽小野田市が実施する集団検診で特定健診を受診した65歳から74歳の高齢者120人を対象とし,基本情報と健康状態,食摂取頻度や食習慣,体組成,栄養状態,身体機能,認知機能などを評価し,さらに男性(51人)と女性(69人),および栄養状態良好群(84人)と低栄養のおそれまたは低栄養群(36人)の2群間でそれらの比較検討を行った. 男性は,エネルギー摂取量・タンパク質摂取量が不足しており(P<0.01),18食品群ではいも類・豆類・魚介類・肉類・乳類(P<0.01),穀類・その他の野菜・海藻類(P<0.05)が不足していた.女性は,食塩が過剰摂取で(P<0.01),菓子類・砂糖・甘味料類・油脂類(P<0.01)が過剰摂取であった.また,女性の良好群は手段的日常生活動作(Instrumental Activities of Daily Living:IADL)が低く(P<0.05),男性の低栄養のおそれまたは低栄養群は握力が低かった(P<0.05). 男女別・栄養状態別で認知機能に有意差は認められなかった. 男性は全般的に食品摂取量不足でエネルギーやタンパク質の摂取量が不足していた.女性は菓子類等の過剰摂取でエネルギーが充足していた.そのため,男性の低栄養のおそれまたは低栄養群は握力低下があり,女性は栄養状態が良好でも,個人の栄養摂取状況の不適で脚点が低く身体機能の低下が認められたものと考えた.年齢とともにフレイルリスクも高まることから,高齢者の健康増進への対策には,男女の食摂取や食習慣の傾向,身体機能にも留意した取り組みが必要であると考えられた.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.72.5