がんゲノム医療における患者対応の経験から
「1. はじめに」慶應義塾大学病院は2017年11月にがん遺伝子外来を開設し, 遺伝子パネル検査を希望するがん患者に対して1年間で約100名の患者対応を行ってきた. この外来には医師だけでなく専属の看護師・認定遺伝カウンセラーが配置されているが, ここでの患者対応の経験を通じて実感したことは「ゲノム医療の現場では, 治療薬や治験薬に関する知識が最も必要とされる」ということである. 最近, poly (ADP-ribose) polymerase(PARP)阻害薬オラパリブが「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」に承認されたこともあり, 患者対応に...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 140; no. 5; pp. 667 - 668 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.05.2020
日本薬学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.19-00217-4 |
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Summary: | 「1. はじめに」慶應義塾大学病院は2017年11月にがん遺伝子外来を開設し, 遺伝子パネル検査を希望するがん患者に対して1年間で約100名の患者対応を行ってきた. この外来には医師だけでなく専属の看護師・認定遺伝カウンセラーが配置されているが, ここでの患者対応の経験を通じて実感したことは「ゲノム医療の現場では, 治療薬や治験薬に関する知識が最も必要とされる」ということである. 最近, poly (ADP-ribose) polymerase(PARP)阻害薬オラパリブが「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」に承認されたこともあり, 患者対応には遺伝に関する知識やカウンセリング技術が必要不可欠と考えられている. しかし, 実際のがん遺伝子外来では既発症者の治療が最優先事項であり, 重い副作用に耐えながらも必死で治療を続けている患者に対して, 未発症の家系員への情報収集は喫緊の課題とはならない. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.19-00217-4 |